質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一六三第一一号
  平成十七年十一月一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員小川敏夫君提出公的年金制度についての経済産業省の試算に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川敏夫君提出公的年金制度についての経済産業省の試算に関する質問に対する答弁書

一について

 経済産業省においては、我が国経済社会の持続的な活力の向上に向けた検討を産業構造審議会基本政策部会で行っているところであり、同部会で議論する上での参考として、経済産業省による公的年金制度についての試算(以下「経済産業省試算」という。)に関する検討状況を平成十七年六月八日の同部会において紹介したものであるが、同日の同部会において、経済産業省試算に関する議論は行われなかった。

二及び三について

 経済産業省試算は、検討の途中の段階にあり、厚生労働省が示した「平成一六年財政再計算」において用いられた前提条件と同じ条件の下に行った試算が当初「平成一六年財政再計算」と一致していなかったことから、公表及び「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」への提出に至っていないものである。

四について

 経済産業省試算は、厚生労働省が公開した年金財政再計算プログラム等を用いて、経済産業省が様々な前提条件を設定し、経済産業省から委託を受けた民間の研究機関が行っているものであり、経済産業省職員は、当該委託を行うに当たって必要な業務に従事したものである。また、当該委託に係る費用は、一般会計において産業経済研究委託費として計上されており、平成十六年度は千二百四十六万九千十三円を支出し、平成十七年度は契約金額が六百二十九万四千八百四十五円である委託契約を締結したところである。

五について

 経済産業省試算は、人口以外の社会経済に関する前提条件については「平成一六年財政再計算」に準拠しつつ、人口、保険料率、支給開始年齢及び給付の調整方式についてそれぞれ二つの条件を設定し、合計十六種類の試算を行っているものである。二及び三についてで述べたとおり、「平成一六年財政再計算」において用いられた前提条件と同じ条件の下に行った経済産業省試算については、当初「平成一六年財政再計算」と一致していなかったが、検討を進めた結果、現時点においては「平成一六年財政再計算」と一致したところである。

六の1について

 経済産業省としては、経済産業省試算は、収支の均衡がとれたものであると認識している。

六の2について

 国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)により、厚生年金保険及び国民年金については、将来の保険料水準を固定する一方、おおむね百年間の収支を均衡させる期間の終了時において給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金を保有しつつ、当該期間にわたって財政の均衡を保つよう給付の調整を行う仕組みを導入するなどの改正が行われ、この結果、厚生年金保険及び国民年金は、財政の安定性が高まり、持続可能な制度となったと認識しており、こうした認識は経済産業省試算によって変わっていない。
 また、「平成一六年財政再計算」は、国立社会保障・人口問題研究所が作成した「日本の将来推計人口(平成十四年一月推計)」並びに専門家による検討を踏まえた運用利回り及び賃金上昇率を前提条件としており、平成十六年改正法による改正後の制度内容を適切に反映した妥当な推計であると考えている。

七について

 御指摘の記事は、経済産業省試算について「経済産業省が極秘に研究し、まとめたもの」としているなど、事実と異なる部分がある。

八について

 経済産業省試算のうち検討を終えた部分については、今後、速やかに公表していきたいと考えている。