質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一○号

内閣参質一六三第一○号
  平成十七年十月二十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出集団的自衛権行使の法律による容認に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出集団的自衛権行使の法律による容認に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねは、仮定に係る問題であるが、憲法の規定の解釈に密接な関係のある内容を含む議員の提案に係る立法については、一般論として次のように考えている。
 すなわち、憲法の規定の解釈に密接な関係のある内容を含む法案であれば、成立に至るまでの国会の審議の過程で、当該法案の前提となる憲法の規定の解釈に関し、当該規定の文言、趣旨との整合性、当該規定の立案者の意図、立案の背景となった社会情勢、さらには国会において積み重ねられてきた当該規定の解釈をめぐる議論との関係等について十分な議論が行われ、これらの点につき国民に十分説明された上で当該法律が成立することとなると考えられ、また、その過程で、議院内閣制の下、法律の執行に当たる政府の意見も十分に聴取されることが期待される。政府としては、国会が制定した法律について、これを誠実に執行することは当然である。

二について

 我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上は当然であるが、憲法には集団的自衛権の保有それ自体について言及する規定は存在せず、かねて述べてきたとおり憲法第九条の下においては集団的自衛権を行使することはできないと解される以上、この権利をあたかも保有していないのと同じであって、我が国が憲法上集団的自衛権を保有しているかどうかは、いわば観念的な議論であると言わざるを得ない。そこで、政府としては、集団的自衛権については、憲法上行使できず、その意味において、保有していないといっても結論的には同じであると考えているところである。