質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一六三第九号
  平成十七年十月二十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出集団的自衛権についての政府見解等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出集団的自衛権についての政府見解等に関する質問に対する答弁書

一について

 集団的自衛権に関する政府の憲法解釈の変更については、平成十六年二月二十七日の参議院本会議における山本香苗議員の質疑及び同年八月二日の衆議院本会議における志位和夫議員の質疑に対する小泉内閣総理大臣の答弁において述べられているとおりであり、憲法第九条の下においては集団的自衛権の行使は許されないとの政府の憲法解釈は、これまで一貫しており、政府としては、これまで積み重ねてきた議論を尊重すべきものと考えている。

二について

 政府の憲法解釈を変更することを禁ずる旨を定める法令の規定は、存在しない。

三について  

 お尋ねの憲法に関する解釈・運用の変更に当たり得るものを挙げれば、衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)一についてで述べたとおり、憲法第六十六条第二項に規定する「文民」と自衛官との関係に関する見解がある。

四について  

 御指摘の答弁書で述べたとおり、国際法上、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利と解されている。この集団的自衛権は、国際連合憲章第五十一条において、国際連合加盟国が有する固有の権利とされており、北大西洋条約第五条は、各締約国が国際連合憲章第五十一条の規定によって認められている個別的又は集団的自衛権を行使する旨規定している。このように、北大西洋条約において言及されている集団的自衛権は、先に述べた集団的自衛権と同じ国際法上の権利であると考えられる。