質問主意書

第163回国会(特別会)

質問主意書


質問第二三号

年金・健康保険福祉施設の整理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年十月三十一日

山本 孝史   


       参議院議長 扇 千景 殿



   年金・健康保険福祉施設の整理に関する質問主意書

 年金や健康保険の保険料を財源として建設・運営されてきた福祉施設等については、一般競争入札による売却を図るとされ、その目的を達成するために、第百六十二国会において独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法が与党の賛成多数で成立した。しかしながら、その後の経緯を見れば、国会審議において厚生労働省が示した考えに沿わないような措置が講じられているのではないかと疑わざるを得ない。
 よって、国民の貴重な財産である当該福祉施設等が適正に整理されることを願って、以下質問する。

一 平成十七年三月三十一日付け「年金・健康保険福祉施設(病院を除く)に係る整理合理化計画」(以下「整理合理化計画」という。)において、「整理合理化対象施設(平成十六年四月一日現在)」は三百十八施設とされていた。しかし、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「機構」という。)のホームページでは、機構設立時(平成十七年十月一日)の「出資施設数」は二百八十八施設とされている。

1 当初に「整理合理化対象施設(平成十六年四月一日現在)」とされた三百十八施設について、施設類型、施設名及び所在都道府県名をそれぞれ明らかにされたい。また、その中で機構設立時に出資されなかった施設がどこかを明示するとともに、それぞれ出資されなかった理由及び当該施設の運営委託先を示されたい。
2 機構設立時に出資されなかった施設についても、機構の廃止期限とされる平成二十二年度末までには、譲渡又は廃止されると考えてよいか。

二 機構が設立時に定めた中期計画には、「譲渡条件」として三つの条件が明記され、その第三番目には「同一都道府県内に代替施設がないことからその中心的な機能を維持することが必要な施設であって、別表に掲げるもの」との条件が掲げられている。しかしながら、同項目は、整理合理化計画にはなかったものである。

1 中期計画別表に掲げられた北海道厚生年金会館及び香川県の健康福祉センター「サンピアさぬき」の両施設(以下「別表の両施設」という。)について、なぜ新たな項目を加えて特別扱いする必要があったのか、説明されたい。
2 別表の両施設の特別扱いに至るまでには、さまざまな要望が寄せられたと思われる。どのような要望があったのか。要望の時期、要望者(団体名)及び要望経路を含めてすべて明らかにされたい。
3 別表の両施設と同様の措置を採るように要望された施設は、他にはないのか。あれば、その施設名と、要望の時期、要望者(団体名)、要望経路をすべて明らかにされたい。
4 「一定期間施設の中心的な機能を維持する」ことが譲渡条件とされているが、この「一定期間」とは、何年間と想定しているのか。また、別表の両施設については、この「一定期間」を何年間と想定しているのか。それぞれ明確に示されたい。
5 譲渡において一定の条件が付されることによって、譲渡価格が大幅に下落すると予測されるが、そのような認識でよいか。
6 特別扱いとされた別表の両施設においても、譲渡条件が付された上で、一般競争入札が行われ、一番高値を付けた者に落札されると理解してよいか。
7 中期計画については、厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会において審議が行われているが、その中で、こうした例外規定を設けることについてはどのような評価を得たのか。

三 中期計画には「施設の譲渡又は廃止に当たっては、各施設が所在する地域の地方公共団体と事前に相談を行うとともに、その結果について、買受者を募る際に情報提供を行う」と規定されている。

1 地方公共団体との相談は、どの段階で行われるのか。
2 機構法成立後から機構設立までの間、関係する地方公共団体とは、施設の譲渡又は廃止について協議を行ったのか。個別施設ごとに、協議の有無及び関係する地方公共団体からの存続要望の有無について明らかにされたい。
3 今後、地方自治体との協議などによっては、別表の両施設と同様の扱いとなる施設が増える可能性はないのか。その理由と併せて明らかにされたい。

四 中期計画には、「各施設の具体的な譲渡方法については、機構において設置する外部の有識者からなる機関の意見を聴いて定める」とされている。

1 この規定された「外部の有識者からなる機関」は設置されているのか。設置されていれば、設置時期、構成員の氏名及びその所属機関名又は出身機関名を明らかにされたい。今後設置されるのであれば、その時期、予定される構成員氏名及びその所属機関名又は出身機関名について明らかにされたい。
2 別表の両施設については、この機関の意見を聴取したのか。
3 機構設立時に既に別表に掲げられているということは、あらかじめこの機関の意見を聴取せずに厚生労働省が独自に決定したとしか考えられないが、なぜそのような拙速な対応をしたのか、その理由を明らかにされたい。
4 国民の貴重な財産を処分するに当たっては、これまでの経緯を反省すれば、政治的な介入を避けるとともに、透明性の高い手続きが求められる。外部の有識者からなる機関が設置されるのも、そのような趣旨からと考える。それにもかかわらず、別表の両施設の扱いは、極めて不透明であると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 日本郵政公社が、郵便貯金会館などの運営を、総務省所管の財団法人から、公募先の民間企業等に切り替える旨の報道があった。

1 この報道にあることは事実か。
2 年金・健康保険福祉施設についても同様の措置を採るよう委員会審議等で提案したが、厚生労働省は「競争入札による売却」を主張して譲らなかった。なぜ、同じ政府内において、同様の問題について異なる対応策が講じられるのか、その理由を明らかにされたい。
3 整理合理化の対象とされた年金・健康保険福祉施設においても、厚生労働省所管の公益法人への委託ではなく、今からでも民間委託とすることも選択肢としてありうるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。