質問主意書

第163回国会(特別会)

質問主意書


質問第一六号

インターネット等の選挙運動への活用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年十月二十六日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   インターネット等の選挙運動への活用に関する質問主意書

 現行の公職選挙法には、インターネット等の選挙運動への活用について明確な規定がない。しかし、一九九六年に新党さきがけからの回答願に対して自治省行政局選挙部選挙課が示した回答においては、パソコンのディスプレーに表示された文字等が公職選挙法上の「文書図画」に当たること等を示し、現在に至るまで公示後のホームページ更新やメールマガジン配信などについて規制が行われている。
 インターネット等の利用は少ない費用選挙で多大な公示効果をあげるなど、民主主義を健全に運営させる新しいインフラストラクチャーとしての特性を持っており、選挙運動への活用に際し支障があるのであれば現行の公職選挙法を改正する必要があるのではないかと考える。また、現行の規制においても、その運用が地域ごとにばらばらで統一された基準がないようにも見受けられる。
 そこで、以下質問する。

一 報道機関やNPO等が、候補者に対する公約アンケートを行うことがある。その結果をインターネットで公開することは、現行の公職選挙法の規定に抵触するのか。もし、抵触するのであれば、具体的にどの条項が適用され、どのような基準により判断されるのか併せて示されたい。

二 これまでの国政選挙でのインターネット等の選挙運動への使用に関して、総務省、中央選挙管理会及び各都道府県・市区町村選挙管理委員会又は検察・警察当局による警告や捜査が行われた案件について、その件数をそれぞれ示されたい。また、各案件がなぜ警告や捜査の対象となったのか、具体的な理由も併せて明らかにされたい。

三 警察当局は、インターネット等の選挙運動への使用に関して公職選挙法違反として取締りを行うに当たって、どのような基準により捜査に着手しているのか、具体的に示されたい。

四 総務省は、各都道府県・市区町村選挙管理委員会に対して、インターネット等の選挙運動への使用についてどのようなガイドラインを示しているのか、具体的に示されたい。

五 インターネット等の選挙運動への使用について明確な基準やガイドラインがなければ、地域又は案件ごとに警察当局や選挙管理委員会等の判断が異なることが生じ、結果として公平な選挙の実施に疑念を抱かせかねないことを憂慮する。現にこれまでの国政選挙でも、それぞれの案件ごとに取扱いに差異が生じていると聞くが、政府の見解を示されたい。また、明確かつ統一的な基準・ガイドラインの策定や、公職選挙法の改正の必要性についても、併せて政府の見解を示されたい。

六 公職選挙法における選挙運動の規制の趣旨は、金のかかる選挙を是正し、公正な選挙の実現を目的としたものである。公職選挙法第百四十二条も、印刷・頒布経費を要する文書図画の頒布等に一定の制限をかけるものであって、法全体の趣旨に合致する規定であると考える。そうであれば、一般的に印刷物と比較してコストが低くなると思われるインターネット等の選挙運動への使用について、「文書図画」に当たるとして規制している理由は何か。

  右質問する。