質問主意書

第163回国会(特別会)

質問主意書


質問第一〇号

集団的自衛権行使の法律による容認に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年十月十三日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   集団的自衛権行使の法律による容認に関する質問主意書

 集団的自衛権行使を憲法上認められないものとする政府の見解は、これまで内閣法制局の憲法解釈のみによって成り立ってきた。しかし、国会は憲法上国の唯一の立法機関であり、憲法に反しないものと判断したならば内閣法制局の解釈に縛られることなく自ら立法することが可能である。
 そこで、以下質問する。

一 昭和五十六年六月三日の衆議院法務委員会における稲葉誠一議員の質疑に対し、角田禮次郎内閣法制局長官は「国際法上は集団的自衛権の権利は持っておりますけれども、それを実際に行使することは憲法の規定によって禁じられている。」と政府の見解を答弁している。国会が自ら議員立法により「集団的自衛権の行使を認める法律」を制定した場合、この角田長官の述べた見解とは異なる趣旨の法律を施行しなければならないことになるが、議員立法による集団的自衛権行使の容認について政府の見解を示されたい。

二 同委員会において角田長官は「私どもは、集団的自衛権を確かに持っている、そしてそれを行使できないのだという説明を理論的にはできると思います。しかし、私どもの立場から見ますと、集団的自衛権というものは全く行使できないわけでございますから、それを国内法上持っていると言っても全く観念的な議論なんです。そういう意味において誤解を招くおそれがありますので、私どもは集団的自衛権は行使できない、それはあたかも持っていないと同じでございます。個別的自衛権の場合と同じように持っているけれども、行使の態様を制限されるものとは本質的にやや違うということを実は強調したいわけでございます。」とも答弁している。国際法上のみならず国内法上も集団的自衛権を持っているのかについては、「全く観念的な議論」として明確な答弁を避けていると考えられるが、改めてこの点についての政府の見解を明確に示されたい。

  右質問する。