質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一六二第五一号
  平成十七年八月十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出住宅ローンの不良債権化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出住宅ローンの不良債権化に関する質問に対する答弁書

一について

 日本銀行の「金融経済統計月報」によると、国内の金融機関における個人向け住宅ローン残高は、平成五年度末においては約百十五兆円であったが、平成十五年度末においては約百七十四兆円に増加している。お尋ねの「融資を行った公的機関の組織別及び民間金融機関等の区分(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行等)別に、それぞれ変動金利型及び固定金利型の種類別(固定金利型については固定期間別)に分け」た件数及び金額は示されていないが、住宅金融公庫(以下「公庫」という。)における平成十五年度末の個人向け住宅ローンの件数及び残高は、それぞれ約四百二十八万件、約五十三兆円であり、すべてが全期間固定金利型である。
 なお、国土交通省が行った「平成十六年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、回答のあった約三百の民間金融機関における平成十五年度末の個人向け住宅ローンの件数及び残高は、それぞれ変動金利型が約百五十六万件、約十八兆円、固定金利期間選択型が約百六十九万件、約二十六兆円、全期間固定金利型が約十八万件、約二兆円となっている。

二について

 お尋ねの金利が上昇した場合の民間金融機関における変動金利型の住宅ローンの利息支払額の上昇分、住宅ローンの不良債権化及び住宅ローンが不良債権化した場合の銀行等の体力について定量的な予測はしておらず、また、現時点において懸念を有していない。

三について

 独立行政法人住宅金融支援機構法(平成十七年法律第八十二号)に基づき、公庫は平成十九年四月一日に解散し、新たに民間金融機関の支援及び補完を行う独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)を設立することとしている。
 公庫に対しては、昭和四十年度以降、公庫の業務実施に伴い生じる調達金利と貸付金利の金利差等の経費を補填するための補給金の交付を行ってきたところであるが、機構に対しては、公庫が平成十六年度末までに住宅ローンの申込みを受理した既往の貸付債権の管理及び回収に係るものを除き、補給金を交付しないこととしている。また、当該既往の貸付債権の管理及び回収については、これを経理する特別の勘定を設けた上で、事業の抜本的見直し及び業務運営の効率化等の最大限の自助努力を前提として財政融資資金の繰上償還を行うことにより、必要となる補給金の金額を圧縮し、平成二十三年度までに補給金に依存する財務構造から転換することとしている。

四について

 二についてで述べたように定量的な予測はしていないところ、民間金融機関は住宅ローンを含め様々な資産・負債項目を有しており、それらを含めてリスク管理を行っているものと考えている。政府としては、検査・監督を通じ、民間金融機関の財務の健全性を検証しているところである。

五について

 住宅ローンに限らず、民間金融機関が有する債権が不良債権化することにより、民間金融機関の経営に悪影響が生じ、ひいては金融不安が発生するような事態は厳に避けるべきであると考えており、そのため、法令にのっとった厳正な検査・監督を通じ、民間金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に努めているところである。