第162回国会(常会)
答弁書第四六号 内閣参質一六二第四六号 平成十七年八月十二日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議長 扇 千景 殿 参議院議員福島みずほ君提出イラク戦争における劣化ウラン弾使用並びにイラク住民及び自衛隊員の健康診断等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出イラク戦争における劣化ウラン弾使用並びにイラク住民及び自衛隊員の健康診断等に関する質問に対する答弁書 一について 政府として、これまでのところ、御指摘のイラクに派遣された外国の軍隊の要員及びその子の疾病等に関する情報を有していない。 二について 政府として、これまでのところ、劣化ウラン弾の影響による健康への被害の事実を確認する情報を有していない。 三について イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク人道復興支援特措法」という。)に基づきイラクへ派遣されている陸上自衛隊の部隊(以下「イラク復興支援群」という。)においては、自衛隊員の安全及び健康を確保するため、万が一に備え、ガンマ線用線量計を自衛隊員全員に携行させている。劣化ウランはガンマ線を発する特徴を有しているところ、同線量計は、これを携行する自衛隊員個人が受けたガンマ線の累積放射線量を測定する機能を有している。 四について イラク復興支援群の自衛隊員に対しては、派遣前に、劣化ウランの特性、三についてで述べたガンマ線用線量計その他の放射線検知器類及び防じんマスクの使用方法等について教育している。御指摘の「指導要領ないしマニュアルなど」については、特に作成していない。 五及び六について イラク復興支援群については、万が一に備え、①放射線検知器類を携行させること、②通常と異なる放射線レベルを検知した場合には当該地域には立ち入らない等の対応をとること、③砂嵐が発生した場合には自衛隊員に防じんマスクを着用させること等としており、仮に劣化ウランが活動地域に存在したとしても、自衛隊員が自然界の放射線量を大きく超える放射線を浴びたり、劣化ウランの粉じんを大量に吸い込むような事態が起きることは考えにくいと認識している。 したがって、現時点では、イラク復興支援群のうち派遣期間が長いイラク復興業務支援隊の自衛隊員に対し、派遣中に一回、現地において臨時の健康診断として、例えば、問診、理学的検査、尿検査等を行うとともに、イラク復興支援群の自衛隊員全員に対し、その所属部隊等において、帰国後直ちに臨時の健康診断として、例えば、問診、理学的検査、尿検査、血液検査、胸部エックス線検査等を行うほか、年一回の定期の健康診断として、例えば、年齢等により違いはあるが、問診、理学的検査、尿検査、血液検査、胸部エックス線検査、胃部エックス線検査等を行うことで問題ないと考えており、御指摘の「劣化ウラン弾の影響を考慮した特別な健康診断」は行っていない。また、自衛隊員が退職した場合には、防衛庁として特段の健康診断は行っていない。 いずれにせよ、今後とも、自衛隊員の健康については万全を期してまいりたい。 七について 二についてで述べたとおり、政府として、これまでのところ、劣化ウラン弾の影響による健康への被害の事実を確認する情報を有していない。 なお、イラク復興支援群においては、イラク人道復興支援特措法第四条に規定する基本計画及びイラク人道復興支援特措法第八条第二項に規定する実施要項に従い、イラク南東部のムサンナー県において、人道復興支援活動としての医療として、病院の運営・維持管理について、イラク人医師等に対して助言・指導を行うとともに、状況に応じ、地域住民等の診療を実施している。 八について 自衛隊は、劣化ウラン弾を保有しておらず、御指摘の「劣化ウラン訓練弾」を使用した事実もない。 |