質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一六二第三八号
  平成十七年七月二十六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員津田弥太郎君提出公立学校建物へのアスベスト使用の状況及び対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員津田弥太郎君提出公立学校建物へのアスベスト使用の状況及び対策に関する質問に対する答弁書

一について

 石綿対策を行うための公立学校の建物の大規模改造事業についての補助実績は、昭和六十二年度から平成十六年度までの間において、小学校五百七十六校、中学校二百九十九校、高等学校百十二校及び特殊教育諸学校十四校の合計千一校である。

二について

 石綿対策を行うための公立学校の建物の大規模改造事業については、公立学校の設置者からの申請があったものに対して国庫補助を行っているものであり、当該事業を行った学校は、その設置者が、昭和六十二年に当時の文部省が行った公立学校建物仕上調査(以下「昭和六十二年調査」という。)の結果を踏まえ、石綿対策を行う緊急性及び必要性が高いと判断したものであると理解している。

三について

 御指摘のようないずれの対策も講じられずに現在に至っている学校の学校名及び所在地については、把握していない。

四について

 学校の建物に使用された吹き付け石綿については、児童、生徒等への健康被害を防止する観点から、昭和六十二年度以降、石綿対策を行うための大規模改造事業に対して国庫補助を行うとともに、関連法令等に従い、大気中への飛散防止等の措置を講ずるよう学校の設置者を指導してきたところである。
 なお、学校の設置者は、石綿障害予防規則(平成十七年厚生労働省令第二十一号)により、その労働者を就業させる建築物の壁等に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該石綿等の除去等の措置を講じなければならないこととされている。

五について

 お尋ねの現在までに発生した中皮腫の被害に関し、学校の建物を通じての被害が疑われる事例については、承知していない。

六について

 昭和五十年九月の特定化学物質等障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)の改正は、当時一般に使用されていた石綿を含有する製剤等(以下「石綿製剤等」という。)中の石綿の含有量の状況等を踏まえ、石綿の含有量が五パーセントを超える石綿製剤等の吹き付け作業を禁止するものであったため、昭和五十二年度以降に建設された公立学校の建物にも、石綿製剤等が使用されているものはあり得ると認識している。
 なお、同規則は平成七年一月にも改正され、同年四月以降は、石綿の含有量が一パーセントを超える石綿製剤等の吹き付け作業は禁止された。

七について

 昭和六十二年調査は、吹き付け石綿の使用状況の概要を早急に把握する必要があったため、公立学校の建物のうち、普通教室、特別教室、屋内運動場及び寄宿舎にその対象を限定したものである。
 また、昭和六十二年調査の対象外の給食室、廊下等における吹き付け石綿の使用状況については、把握していないが、給食室、廊下等に関する石綿対策についても、大規模改造事業における国庫補助の対象としているところである。

八について

 昭和六十二年調査を行った時点から、石綿を取り巻く社会情勢が変化しているため、改めて公立学校の建物における吹き付け石綿の使用状況に関する調査を可及的速やかに行う予定である。