第162回国会(常会)
答弁書第三○号 内閣参質一六二第三○号 平成十七年六月二十一日 内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 細田 博之
参議院議長 扇 千景 殿 参議院議員福島みずほ君提出拘置所における妊娠・出産前後の未決勾留者に対する待遇の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出拘置所における妊娠・出産前後の未決勾留者に対する待遇の運用に関する質問に対する答弁書 一について 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により勾留されている者(以下「被勾留者」という。)であって妊娠しているものについては、拘置所の医師による健康管理を行っているほか、必要に応じて外部の産婦人科医師による診察を受けさせている。 医師の診察等の頻度及びその具体的な内容については、妊娠している被勾留者の個々の状況により異なるものであり、一概にお答えすることはできない。 二について 拘置所においては、当該施設の規模に応じて医務部又は医務課が設けられており、妊娠している被勾留者に出産前に破水等の緊急事態が発生した場合には、直ちに当該施設の医師による診療又は外部の医療機関への移送が行える体制にある。 また、拘置所においては、医師が妊娠している被勾留者の状態を的確に把握できるよう、医務部門と処遇部門が連絡を密にするよう努めているほか、外部の医療機関への移送が必要に応じて円滑に実施できるよう、移送することが見込まれる医療機関とあらかじめ調整を行う等の連携に努めている。 三及び四について 一般的に、被勾留者が出産をする場合には、勾留の執行が停止され、又は外部の医療機関に移送しているところであり、新生児についても、必要な期間、外部の医療機関に入院の上、必要な処置が行われており、母子関係に対する配慮も当該医療機関においてなされているものと認識している。 被勾留者が出産した子については、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第十二条の規定により、被勾留者がその子を施設内で養育したい旨の申出をした場合において、必要と認めるときはこれを許しており、これを許された被勾留者が授乳等を始めとする育児に関与できるよう取り計らっている。 また、拘置所においては、施設内での子の養育を許さない場合には、出生後速やかにその子の父等の引取人に引き渡すか、適当な引取人がいないときは乳児院に預ける等の措置を講じており、被勾留者が当該引取人等を通じて育児に関与できるよう取り計らっている。 五について 拘置所においては、被勾留者が、妊娠しており、又は出産をしたときは、母子ともに健全な状態で過ごせるよう、例えば、母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)第十五条の規定に基づく妊娠の届出を速やかに行うよう被勾留者を指導したり、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条の規定に基づき、保護を要する児童について福祉事務所等に通報する等の医療上又は保護上の措置を講じている。 六について 勾留は、刑事訴訟法の規定に基づき、被疑者又は被告人を監獄に拘禁する処分であるところ、被疑者及び被告人は有罪の確定判決を受けた者ではないので、勾留に伴うその権利又は自由の制限は、勾留の目的のために必要かつ合理的な範囲のもの(監獄の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要かつ合理的な範囲のものを含む。)でなければならず、その範囲を超えて刑の執行に伴う制限等をすることはできないと解される。 具体的には、例えば、勾留されている被告人については、同法第八十条及び第八十一条の規定により、その勾留が逃亡及び罪証隠滅の防止を目的とするため、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、弁護人等以外の者との接見の禁止等がされることがあるが、そうでない限り、監獄の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制約の範囲内で、弁護人等以外の者と接見等をすることができることとされている。 七について 妊娠している被勾留者とその配偶者等との面会の実施に当たっては、例えば、子の養育についての相談等の用件を処理するために必要な範囲で面会時間を延長する等、個別の事情に応じて適切な配慮を行っている。 |