質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第二五号

内閣参質一六二第二五号
  平成十七年六月十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員広中和歌子君提出ジェネリックの普及に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員広中和歌子君提出ジェネリックの普及に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国のいわゆる後発医薬品(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項第一号に規定する新医薬品等(以下「先発医薬品」という。)とその有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一性を有する医薬品として、同法第十四条第一項に規定する製造販売の承認(以下「承認」という。)の申請の際に、規格及び試験方法に関する資料、加速試験に関する資料及び生物学的同等性に関する資料のみを添付して申請され、承認された医薬品等をいう。以下単に「後発医薬品」という。)の市場シェアは、医薬工業協議会の調べによると、平成十五年度において、数量ベースで約十六パーセント、金額ベースで約五パーセントである。また、各国の後発医薬品の市場シェアは、アメリカ合衆国の後発医薬品の業界団体であるGENERIC PHARMACEUTICAL ASSOCIATIONの調べによると、アメリカ合衆国では、平成十六年において、数量ベースで約五十三パーセント、金額ベースで約十二パーセントであり、欧州の後発医薬品の業界団体であるEUROPEAN GENERIC MEDICINES ASSOCIATIONの調べによると、ドイツでは、平成十六年において、数量ベースで約四十一パーセント、金額ベースで約二十三パーセント、英国では、平成十五年において、数量ベースで約五十五パーセント、金額ベースで約二十四パーセント、フランスでは、平成十六年において、数量ベースで約十パーセント、金額ベースで約七パーセントである。

二について

 国立病院及び国立療養所(国立ハンセン病療養所を除く。)における平成十五年九月三十日時点の後発医薬品の採用率は、数量ベースでは把握していないが、品目数ベースでは、国立病院は約七パーセント、国立療養所は約八パーセントとなっている。なお、独立行政法人国立病院機構設立後の同機構が開設する病院における後発医薬品の採用率については、現在調査中であり、現時点においてお答えすることは困難である。
 また、国立大学の附属病院における平成十五年度の後発医薬品の採用率は、数量ベースでは把握していないが、品目数ベースで約四パーセントとなっている。なお、国立大学の法人化後における国立大学の附属病院における後発医薬品の採用率については、現在調査中であり、現時点においてお答えすることは困難である。

三について

 医療保険制度においては、後発医薬品の使用を促進する観点から、診療報酬において、平成十四年度から、保険医療機関等において後発医薬品を含む処方を行った場合の処方せん料について、その他の場合より高く評価する措置を講じている。また、調剤報酬においては、平成十四年度から、保険薬局において後発医薬品を調剤した場合に加算を行う措置及び後発医薬品の品質、薬価等に関する情報の患者への提供に係る評価を行う措置を講じている。
 厚生労働省が行った社会医療診療行為別調査によれば、薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合は、平成十四年六月審査分において、入院外であって院内処方の場合は六・八パーセント、入院外であって院外処方の場合は四・五パーセント及び入院の場合は三・八パーセントであったものが、平成十五年六月審査分においては、それぞれ、八・○パーセント、四・九パーセント及び五・○パーセントとなっているところである。
 また、政府としては、右に述べた診療報酬における措置を講じることに加え、後発医薬品の承認時において生物学的同等性を確認すること及び先発医薬品との溶出性に関する同等性を確認する品質に係る再評価を行い、後発医薬品の品質を担保するとともに、後発医薬品の製造販売業者に対し安定供給指導を行うことにより、後発医薬品に対する信頼を高め、その普及に努めているところである。

四について

 御指摘の参議院厚生労働委員会における厚生労働大臣の答弁は、いわゆる代替調剤の実施については、必ずしも、関係者の意見が集約されておらず、一般論として賛否両論があることを述べたものである。

五について

 平成十五年度から平成十七年度までの間において、後発医薬品の普及に関連して個別に予算に計上したものとしては、平成十六年度予算に計上した、医薬品産業政策の企画立案に資することを目的とした後発医薬品の現状と課題を把握するための調査研究費があり、その予算額は五百六十三万七千円である。

六について

 御指摘の勧告に対し、厚生労働省は省内で検討を行い、平成十六年七月に、厚生労働省から総務省に対して、現状は後発医薬品の使用促進の観点から環境整備を図る段階にあると考えており、後発医薬品の品質確保を図るため医薬品の品質に係る再評価を実施しているところである旨回答したところである。
 今後とも、品質に係る再評価を進めるとともに、当該勧告で指摘された仕組みについて、後発医薬品の使用環境の状況を踏まえつつ、検討してまいりたい。

七について

 御指摘の社団法人日本医師会の見解に対しては、医療関係者の後発医薬品に対する信頼の確立が重要であると考えており、三についてで述べたように、後発医薬品の承認時において生物学的同等性を確認すること及び先発医薬品との溶出性に関する同等性を確認する品質に係る再評価を行い、後発医薬品の品質を担保するとともに、後発医薬品の製造販売業者に対し安定供給指導を行うことにより、医療関係者の後発医薬品に対する信頼の確立に努めてまいりたい。

八について

 医師が医薬品の販売名を記載した処方せんに、「代替調剤可」などと記載すること等により、その処方せんを交付した医師が、同一の有効成分を同一量含有し、かつ、同一の投与経路である他の医薬品に変更して調剤して差し支えない旨の意思表示を行った場合においては、薬剤師が患者と相談しながら、同一の有効成分を同一量含有し、かつ、同一の投与経路である他の医薬品に変更して調剤することは、現行法上可能である。
 また、お尋ねの患者が医師に後発医薬品の処方を要望すること及び「ジェネリックの処方をお願いします」などと表記されたカード等を各種団体等が作成し、配布することについては、現行法上特に禁じる規定はない。
 政府としては、これらの方法を含め、後発医薬品の普及促進に向けて様々な方法を検討してまいりたい。