質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四号

内閣参質一六二第二四号
  平成十七年六月十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員広中和歌子君提出三角頭蓋に対する脳外科手術と小児医療の安全性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員広中和歌子君提出三角頭蓋に対する脳外科手術と小児医療の安全性に関する質問に対する答弁書

一について

 三角頭蓋(頭蓋骨早期癒合症の一つであり、前額が前方へ三角形に膨隆した状態をいう。)について、癒合した頭蓋の縫合部の切除等を行う治療(以下「三角頭蓋に対する脳外科手術」という。)が、沖縄県立那覇病院において、発達障害児(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害児をいう。以下同じ。)に対して行われている事実があることは承知しているが、正確に、いつから、何例行われたかについては、既存の統計資料がないため、お示しすることは困難である。

二について

 お尋ねの事例については、既存の統計資料がないため、お示しすることは困難である。

三について

 三角頭蓋に対する脳外科手術は、一般的に、頭蓋容積の狭小化による脳の圧迫の解除や美容上の目的で行われる治療であるところ、発達障害児に対し、発達障害の治療を目的に、三角頭蓋に対する脳外科手術を行うことは、一般的に普及、確立している治療法とは言えないと認識している。
 疾病の治療等の医療行為については、患者に適切に説明をした上で、医師の素養に基づく高度かつ専門的な判断により適切に実施されることが原則である。個々の事例について、医師が、その医学的判断及び技術によりどのような医療行為を行うことができるかについては、右の原則の下、患者の意思や状態、現在得られている医学的知見等も踏まえつつ、個々の事例に即して適切に判断されるべきものであると考えている。

四について

 社団法人日本自閉症協会が平成十六年九月二十一日付けで示した「三角頭蓋の手術についての公式見解」は、同協会に寄せられた質問への回答として示されたものであり、政府に対して具体的な取組を求めるものではないと承知しており、御指摘の現地調査等は実施していないが、同見解において、同協会として、「頭蓋骨早期癒合症などの先天奇形と自閉症の正確な疫学調査や、脳の形態と働きの関連についての研究に協力する必要がある」とされているところであり、政府としては、必要に応じて、同協会や学術団体における研究の進展について情報の収集に努めるなど、適切に対応してまいりたい。

五について

 三についてで述べたように、個々の事例について、医師が、その医学的判断及び技術によりどのような医療行為を行うことができるかについては、患者の意思や状態、現在得られている医学的知見等も踏まえつつ、個々の事例に即して適切に判断されるべきものであると考えている。