質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一六二第一二号
  平成十七年四月一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出義務教育諸学校教科書採択の公正確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出義務教育諸学校教科書採択の公正確保に関する質問に対する答弁書

一について

 都道府県の教育委員会は、義務教育諸学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校、中等教育学校の前期課程並びに盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部をいう。以下同じ。)の教科用図書(学校教育法第二十一条第一項(同法第四十条、第五十一条の九第一項及び第七十六条において準用する場合を含む。)及び第百七条に規定する教科用図書をいう。以下同じ。)の採択に関し、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和三十八年法律第百八十二号。以下「無償措置法」という。)及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和三十九年政令第十四号)の諸規定により、義務教育諸学校において使用する教科用図書の研究に関する計画及び実施、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会及び義務教育諸学校(公立の義務教育諸学校を除く。)の校長の行う採択に関する事務についての適切な指導、助言又は援助、教科用図書採択地区の設定並びに教科用図書選定審議会の委員の任命を行うこととされており、また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第六号の規定により、都道府県立の義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択を行うこととされている。

二について

 教科用図書の採択に関しては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条第一項の規定により、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県教育委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導を行うことができることとされている。また、無償措置法第十条の規定により、都道府県の教育委員会は、当該都道府県内の義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択の適正な実施を図るため、市町村の教育委員会及び義務教育諸学校(公立の義務教育諸学校を除く。)の校長の行う採択に関する事務について、適切な指導を行わなければならないこととされている。

三の1について

 「教科書の編著作者等が選定・採択等に関与することの排除について」(昭和三十三年四月十四日付け文初教第二百三十一号文部省初等中等教育局長通知)に記された「事実上編著作に参加し、またはこれに協力した者」及び「編著作に関与した者」については、例えば、教科用図書の編著作者ではないが、原稿を読んで誤りを正したり不足を補ったりする作業を行い編著作に関与した者などが含まれる。

三の2について

 お尋ねの通知の内容については、現在も維持されている。

三の3について

 教科用図書の検定は、制度上、各年度において発行者等が検定申請する図書について行うものであり、過去に検定を経た教科用図書の発行者等が、当該教科用図書と共通の記述がある教科用図書を新たに検定申請する場合であっても、当該検定申請に係る教科用図書は過去に検定を経た教科用図書とは別のものとして取り扱われる。また、教科用図書の採択は、年度ごとに、検定を経て教科書目録に登載された教科用図書の中から行うものである。
 したがって、特定の者が教科用図書の編著作者又は編著作に関与した者に該当するかどうかは、それぞれの教科用図書ごとに判断されるべきものである。一般に、過去に検定を経た教科用図書と新たに検定を経た教科用図書に共通の記述があるという理由だけで、過去に検定を経た教科用図書の監修者が、直ちに、新たに検定を経た教科用図書の編著作者又は編著作に関与した者に該当するとは言えないと考える。なお、個別具体の事案については、採択の事務を行う教育委員会等において判断されるものと考える。

四の1について

 お尋ねの通知の内容については、現在も維持されている。

四の2について

 都道府県教育委員会が市町村教育委員会等に対し採択に関する指導、助言又は援助を行う場合にも、公正な立場から行うことが求められると考える。

四の3について

 お尋ねの通知の内容については、現在も維持されている。

四の4について

 お尋ねのような者が「教科用図書の採択に直接の利害関係を有する者」に該当するかどうかについては、その者が事実上発行者の事業の運営に重要な影響力を有しているかどうか、お尋ねのような団体が教科用図書の著作者であるかどうかなどを勘案して、個別具体の事案に即して都道府県の教育委員会において判断されるものと考える。

五の1について

 お尋ねの内容については、現在も維持されている。

五の2及び六について

 文部科学省においては、従来から、教科用図書の編著作者又は編著作に関与した者が採択に関与しないよう指導しているところであり、採択の対象となる教科用図書の編著作者である教育委員又は編著作に関与した教育委員は、当該教科用図書の採択に関与すべきではないと考える。