質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第一○号

内閣参質一六二第一○号
  平成十七年三月二十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員糸数慶子君提出嘉手納基地の騒音問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出嘉手納基地の騒音問題に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの判決(以下「本件判決」という。)のうち、航空機の離着陸等の差止請求及び将来の損害に係る損害賠償請求に関する部分については、国の主張が認められ、妥当な判断が示されたものと評価しているが、他方、過去の損害に係る損害賠償請求に関する部分については、損害賠償額の認定等につき相当でないと考えるところがあり、控訴審の判断を仰ぐため控訴をしたところである。

二について

 お尋ねの騒音測定調査は、防衛施設庁が財団法人防衛施設周辺整備協会に約五千五百万円で委託して実施している「嘉手納飛行場周辺における航空機騒音度調査業務」の一環として実際の航空機騒音等を測定するために現地において行われている調査であり、本年二月には、嘉手納飛行場周辺の約四十か所で、おおむね午前八時三十分から午後四時三十分までの間(一部においては、終日)、航空機騒音等の測定が実施されている。また、今後、同様の調査が数回行われる予定である。

三について

 アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)軍隊が現在公表している資料によれば、嘉手納飛行場には、空軍の航空機として、F-15戦闘機、KC-135空中給油機、E-3早期警戒管制機及びHH-60ヘリコプタ-が計約八十機、MC-130特殊作戦支援機が十機、C-12輸送機が二機並びにRC-135偵察機が一機又は二機配備されており、また、海軍の航空機として、P-3対潜哨戒機が三機ないし十機配備されているとのことである。このほか、現在、海兵隊の航空機として、KC-130空中給油機、UC-35多用途機及びC-12輸送機が一時的に同飛行場で運用されていると承知している。また、現在行われている那覇空港の滑走路の改良工事期間中、海上自衛隊のP-3C哨戒機が一機並びに航空自衛隊のF-4要撃戦闘機が四機及びU-125A救難捜索機が一機、同飛行場を使用して離着陸等を行っているところである。同飛行場に配備され、又は飛来するこれら以外の航空機の種類及び機数については、承知していない。
 昭和五十二年の時点で嘉手納飛行場に配備され、又は飛来していた航空機の種類及び機数については、承知していない。なお、防衛施設庁からの委託を受けて同年度に株式会社アコ-テックが行った「嘉手納および普天間飛行場周辺における航空機騒音評価方法WECPNLに基づく騒音度調査」の結果を取りまとめた報告書によれば、当該調査において、嘉手納飛行場周辺でF-4、A-3、A-4、A-6及びAV-8戦闘・攻撃機、SR-71偵察機、KC-135空中給油機、C-135、C-141、C-5、S-500、C-130及びC-2輸送機、P-3C及びS-2対潜哨戒機並びにUH-1及びH-60ヘリコプタ-の飛行が確認されているとのことである。

四について

 嘉手納飛行場周辺において「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める環境基準が達成されていない地域があることなどについては認識をしているところ、政府としては、同飛行場周辺の航空機騒音により生ずる障害の防止等のため、住宅防音工事に関する助成措置を始めとする各種の騒音対策を実施するとともに、合衆国に対し航空機の運用による騒音の影響をできるだけ軽減するよう申入れを行ってきている。今後とも、これらの騒音対策等を適切に行ってまいりたい。

五について

 政府としては、本件判決にも述べられているように、沖縄県が平成十一年に公表した「航空機騒音による健康への影響に関する調査報告書」に示されている調査の結果によって、航空機騒音と住民の健康被害との間の因果関係が明らかになったとはいえないものと考えている。また、現時点において、当該調査と同様の調査を行うことは考えていない。

六について

 政府としては、累次の機会に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会における平成八年三月二十八日の嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置に関する合意に従い、航空機の運用による騒音の影響をできるだけ軽減するよう合衆国に申入れを行ってきている。合衆国軍隊は、航空機による活動をするに当たっては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)の目的の達成を図りつつ、周辺住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減するよう最大限努力しているものと承知している。