第162回国会(常会)
答弁書第三号 内閣参質一六二第三号 平成十七年三月四日 内閣総理大臣 小泉 純一郎
参議院議長 扇 千景 殿 参議院議員福島みずほ君提出JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問に対する答弁書 一について 昭和五十六年度当時、株式会社ジェー・シー・オー(旧日本核燃料コンバージョン株式会社を含む。以下「JCO」という。)が得ていた核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第五十二条第一項の規定に基づく核燃料物質の使用の許可(以下「使用の許可」という。)に係る申請書の管理棟にある使用施設に関する記載部分及び原子炉等規制法第十三条第一項の規定に基づく加工の事業の許可(以下「加工事業の許可」という。)に係る申請書の第1加工施設棟及び第2加工施設棟に関する記載部分において、硝酸ウラニル溶液をお尋ねの「最終製品」とする明示的な記載はないが、使用又は加工の工程の中で硝酸ウラニル溶液を製造する旨の記載がある。 お尋ねの高速実験炉「常陽」及び新型転換炉「ふげん」用の硝酸ウラニル溶液を、管理棟にある使用施設において製造することについては、加工等を事業として行うものでない限り、使用の許可に基づき、硝酸ウラニル溶液を製造することができると考えており、仮に昭和五十六年度当時、JCOが、当該使用施設において、硝酸ウラニル溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって使用の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。 また、昭和五十六年度当時、天然ウランを用いて製造された硝酸ウラニル溶液(以下「天然ウラン溶液」という。)を製品とすることについては、硝酸ウラニル溶液の原料が天然ウランであり、加工事業の許可基準の一つとしている核燃料施設安全審査基本指針(昭和五十五年二月七日原子力安全委員会決定)等に照らして臨界防止の措置を考慮する必要がなかったことから、直ちに原子炉等規制法第十六条第一項に規定する加工の事業の変更許可(以下「加工事業の変更許可」という。)が必要であったとは言えないと考えている。したがって、仮に当時、JCOが、第1加工施設棟又は第2加工施設棟において、お尋ねの「常陽」及び「ふげん」用の天然ウラン溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって直ちに加工事業の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。 二の1について 先の答弁書(平成十六年十一月十九日内閣参質一六一第一号)一の3についてで述べたとおり、JCOは、加工事業の許可を得ていたが、お尋ねのような特定の原子炉の燃料の製造に用いられる硝酸ウラニル溶液をどの施設で製造していたかについては、国に対して報告されることとなっていないので、お答えすることが困難である。 二の2及び3について JCOの加工事業の許可に係る申請書の第1加工施設棟及び第2加工施設棟に関する記載部分において、酸化ウラン粉末を製品とする旨の記載がある。また、硝酸ウラニル溶液をお尋ねの「最終製品」とする明示的な記載はないが、加工の工程の中で硝酸ウラニル溶液を製造する旨の記載がある。 平成十五年十二月に核燃料サイクル開発機構東海事業所が発表した「JCO臨界事故に関するサイクル機構とJCOとの関係について―改訂版―(調査報告)」において高速増殖原型炉「もんじゅ」用燃料の製造に用いられる硝酸ウラニル溶液の製造が開始されたとされる平成元年当時、劣化ウランを用いて製造された硝酸ウラニル溶液(以下「劣化ウラン溶液」という。)を製品とすることについては、硝酸ウラニル溶液の原料が劣化ウランであり、加工事業の許可基準の一つとしている核燃料施設安全審査基本指針等に照らして臨界防止の措置を考慮する必要がなかったことから、直ちに加工事業の変更許可が必要であったとは言えないと考えている。したがって、仮に当時、JCOが、第1加工施設棟又は第2加工施設棟において、お尋ねの「もんじゅ」用の劣化ウラン溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって直ちに加工事業の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。 三について お尋ねの点については、現時点において、当時の事実関係について正確に把握することが困難であるため、お答えすることが困難である。 |