質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一六二第二号
  平成十七年二月十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員小池晃君提出抗がん剤イレッサの有効性検証に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出抗がん剤イレッサの有効性検証に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十六年十二月十七日に、厚生労働省医薬食品局が、日本のアストラゼネカ株式会社から、アストラゼネカ英国本社が御指摘の臨床試験(以下「ISEL試験」という。)の初回解析の結果の発表を同日行うとの連絡を受け、発表資料を入手し、その内容を知った。

二について

 厚生労働省医薬食品局は、平成十六年十二月十七日にISEL試験の初回解析の結果を入手した後検討を始め、同月二十七日に、平成十七年一月二十日にISEL試験の結果に関して検討を行うため、医学、薬学等の専門家等からなる検討会(以下「ゲフィチニブ検討会」という。)を開催することを決定した。

三について

 ゲフィチニブ検討会では、ISEL試験について、イレッサ錠二百五十(以下「イレッサ」という。)の臨床的有用性に対する影響を判断するためには、初回解析の結果では十分でなく、詳細な解析結果を待つ必要があるとされたところであり、厚生労働省においてもその検討結果を妥当と判断した。

四について

 ISEL試験の初回解析の結果のみでは、日本人患者における生存期間に対するイレッサの有効性を判断することはできないと考えており、その有効性を判断するためには、現在日本でアストラゼネカ株式会社が日本人を対象として実施している生存期間を主要評価項目とする臨床試験(以下「第三相試験」という。)の結果を待つ必要があると考えている。

五について

 ゲフィチニブ検討会におけるアストラゼネカ株式会社のISEL試験の初回解析の結果については、その概要は傍聴者にも配布しており、必要な情報は提供したものと考えている。それ以外の御指摘の詳細データについては、同社から申出があったこと等を踏まえ、傍聴者には配布せず、ゲフィチニブ検討会の委員から回収したものである。ゲフィチニブ検討会の委員に対しては、事前に当該データを配付しており、その取扱いは、ゲフィチニブ検討会における医学的及び薬学的な検討を行うために十分なものであり、国民の信頼を損なうものではないと考えている。

六について

 第三相試験は、平成十五年九月から行われている。その結果については、現時点では、平成十九年第二四半期頃に取りまとめられ、その後発表される予定であると承知している。
 第三相試験については、試験成績を科学的に評価するために、四百八十四例の症例を対象として実施することを予定しているが、その際、被験者の同意を得ることが困難である等の事情により、第三相試験の取りまとめに一定の期間を要しているものと承知している。

七について

 イレッサの投与に関しては、イレッサの添付文書の警告欄において「同意を得た上で投与すること」及び「少なくとも投与開始後四週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと」とされている。厚生労働省としては、アストラゼネカ株式会社にこれらの状況について、定期的に報告させ、確認しているところであり、前者については、同意の取得は文書又は口頭でなされており、後者についても、警告の内容に従って個々の症例に対して適切な対応がなされている旨報告を受けている。

八について

 御指摘の「死亡五八八例」は、厚生労働省において、アストラゼネカ株式会社及び医療機関等からの報告に基づいて、把握したものであり、すべての死亡例を把握した上での件数とは考えていない。なお、「推定累積患者数八六八○○人」は、アストラゼネカ株式会社が一定の仮定をおいて試算したものである。
 また、アストラゼネカ株式会社からの報告によると、平成十四年七月五日から平成十六年十二月三十一日までのイレッサの国内出荷量は、約五百五十四万錠である。