質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第四四号

在日米軍の施設及び区域における廃棄物等の処理及び環境調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年八月二日

糸数 慶子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   在日米軍の施設及び区域における廃棄物等の処理及び環境調査に関する質問主意書

 日本政府は、限られた資源の有効的な利用や生活環境の保全という観点で、廃棄物等の発生の抑制や再利用に努め、循環型社会の構築を目指している。具体的な政策としては3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進を唱え、各種のイベント等で、その広報の徹底を図っている。
 このような取組によって、資源の無駄遣いをなくし、再利用を促進し、循環型社会を目指すとする政府や地方自治体の環境行政の努力にもかかわらず、その環境政策や環境行政の権限が及ばない施設及び区域が日本国内に存在している。それは在日米軍の施設及び区域であり、日本政府は、在日米軍の環境問題については、在日米軍司令本部発行の「日本環境管理基準(Japan Environmental Governing Standards)」(以下「JEGS」という。)の存在を盾に、在日米軍の施設及び区域においては日本の環境基準にのっとり、環境への配慮がなされているものと承知しているとの見解を示している。
 しかし、JEGSは英文のみが存在し、日本文はなく、その内容等について知る手立てもない。このため米軍基地を抱える地方自治体では、米軍基地内における廃棄物の分別や収集、運搬、最終処理等の実態、さらに基地外への搬出、また廃棄物の種類も全く掌握できていないのが実情である。在日米軍基地の七五%を抱える沖縄県においては、産業廃棄物処理施設の整備促進基本構想検討委員会が沖縄県知事へ提出した最終報告書(二〇〇五年二月)で「米軍廃棄物の最終処分の受け入れには米軍等の動向を見極めた対応が必要」と、異例の文言が盛り込まれた。
 また、日米合同委員会の環境分科委員会においては、米軍基地から派生した環境問題について、地方自治体が基地指令官の許可を得た上で、立入調査等を行うことを認めている。このような日米両政府の取組や廃棄物処理の実態等を踏まえ、在日米軍の施設及び区域における廃棄物等に関し、以下質問する。

一、二〇〇一年、具志川市(現うるま市)の米海兵隊基地キャンプ・コートニーのクレー射撃場で鉛汚染が発覚した。沖縄県は二〇〇三年九月、外務省沖縄事務所に対し、現地環境調査のための立入許可を申請したが、現在に至っても「未回答」のまま保留している。去る二〇〇五年三月一八日の本院財政金融委員会においても現地環境調査の必要性から私はこの問題を取り上げ、「どのような理由で立入調査ができないのか」と質した。政府は「各省庁と協力しつつ日米間の調整が行われている」と答えているが、いかなる調整がなされ、いつ調整を終え、基地の立入調査ができるのか、明確に示されたい。

二、JEGSは、英文のみ存在するのか。英文のみであるなら、JEGSの日本語版を必要としないのはなぜか。

三、JEGSの最新版はいつ発行されたのか。

四、JEGSは日本の環境基準を遵守し、それ以上の厳しい基準を持つといわれているが、どのような基準項目で、どのような数値基準を持つのか等、具体的にその内容を示されたい。

五、JEGSには、一般廃棄物及び産業廃棄物の規定があるか。

六、JEGSでは、一般廃棄物と産業廃棄物の収集から運搬、処分に至るごみの最終処分をどのように行っているか。

七、JEGSには、現在、日本政府が環境政策として推進する3Rの取組等に準ずる規定があるか。

八、JEGSでは、軍事訓練等で生じた廃棄物をどのように取り扱っているか。

九、JEGSでは、有害廃棄物等をどのように処理しているか。

十、在日米軍の施設及び区域では、産業廃棄物の処理に関して、その収集、運搬、集積、焼却等の施設を備えているか。

十一、日米合同委員会の環境分科委員会において、在日米軍基地から派生した廃棄物等の環境問題について具体的な協議がいつ行われたのか。その協議内容と協議回数(二〇〇〇年九月の「環境原則に関する共同発表」以降)について明らかにされたい。

十二、二〇〇〇年九月の「環境原則に関する共同発表」は、日米両国の情報交換及び基地内への立入調査の重要性を認識し、さらに環境汚染への対応においても、汚染浄化の早急な取組を確認している。その主旨において、JEGSが有効かつ確実に運用されているかの確認は、政府、地方自治体においても極めて重要である。政府として、JEGSの運用をどのような方法で確認しているか。

  右質問する。