質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

十八歳未満に保障されている児童デイサービスの小学校卒業時打ち切りに関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年六月六日

足立 信也   


       参議院議長 扇 千景 殿



   十八歳未満に保障されている児童デイサービスの小学校卒業時打ち切りに関する再質問主意書

 去る五月二日に私が提出した「十八歳未満に保障されている児童デイサービスの小学校卒業時打ち切りに関する質問主意書」については、五月十三日に内閣から答弁書が提出されているが、その答弁内容に疑義があるので、再度以下質問する。

一、十八歳未満を対象とする児童デイサービスがなぜ小学校卒業時に打ち切られるのかという質問に対して、児童福祉法に児童デイサービスの定義として定められている「日常生活における基本的な動作の指導及び集団生活への適応訓練」が、小学生までにしか効果が見込まれないからという答弁が示されている。
 十八歳以上を対象とするデイサービスに含まれる訓練については、身体障害者福祉法及び同法に基づく省令では「機能訓練、社会適応訓練」と、知的障害者福祉法及び同法に基づく省令では「社会生活への適応のために必要な訓練、機能訓練」と定められている。機能訓練の主要部分が日常生活動作の訓練であることや「集団生活への適応訓練」と「社会生活への適応訓練」の類似性などから、児童デイサービスと十八歳以上のデイサービスとの違いでさえそれほど大きなものとは思われないが、「日常生活における基本的な動作の指導及び集団生活への適応訓練」が、なぜ小学生までにしか効果が見込まれないと言えるのか。また、十三歳から十七歳までの児童に対し効果が見込まれる訓練とは何か、明確に示されたい。

二、十八歳未満を対象とする児童デイサービスの定義が小学生までにしか対応していないとすれば、法律として矛盾を来たし、不備があることになる。早急に児童福祉法を改正し、十三歳から十七歳までの児童に対し効果が見込まれる訓練を定義に加えるべきであるが、厚生労働省はいつからこの不備を承知していたのか、また、現在まで法改正をせずに放置している理由を示されたい。そして、改正の予定時期を明確に示されたい。

三、我が国が法治国家である以上、仮に、児童福祉法の児童デイサービスの規定に関して厚生労働省が考えるような不備が現行法にあったとしても、政府を含め、全ての国民が現行法に従う義務があると考えるが、内閣法制局の見解を明確に示されたい。

四、児童福祉法で十八歳未満と定義されている「児童」を対象とした児童デイサービスは、特段の定めがない限り他のサービスと同様に、十八歳になるまでを対象としていると読む以外にない。支援費の支給義務を地方自治体に負わせている法律の条文に「十八歳未満」という年齢が明記されているにもかかわらず、法の執行段階で、法律・政省令の委任も一切なく行政府の判断のみで他の年齢に読み替えることが、我が国の法制度上本当に可能であるのか。民主主義の基本原理である「法の支配」に抵触する重要な問題であるので、内閣法制局において慎重な検討を行った上で答弁されたい。

五、厚生労働省は、国会に対する議案提出権を持つ政府の中の一機関である。その厚生労働省自らが、法の不備を理由にして、権利性を持つ支援費の支給に関し、法に明記してある年齢を法的な根拠なく読み替えて執行している。この行為は、法に基づいて行政を執行するという民主主義の基本原理を逸脱しているおそれが強い。この問題を至急検討し、適切な対処をすべきと考えるが、行政の最高責任者である内閣総理大臣の見解を示されたい。

六、市町村の裁量で支援費の支給に一律に年齢制限を加えることが可能かという質問に対して、「提供体制の整備の状況」により可能という答弁が示されている。これは、児童デイサービスが小学生までを対象としていることを前提とした上で、全ての児童デイサービス事業者が小学生までを対象としているので小学校を卒業した児童には受けられる児童デイサービスが存在せず、したがって支援費を支給しないという内容である。
 それでは、児童デイサービスが十八歳未満を対象としていることを前提とした場合、市町村の裁量で一律に年齢制限を加えることは法律上認められないということでよいか。内閣法制局が検討した法制的見解を含めて答弁されたい。

七、全国の市町村のうち、平成十五年六月六日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知に示された技術的助言に従い児童デイサービスの支援費支給を小学校卒業時に打ち切っている市町村と、児童福祉法に従い児童デイサービスの支援費を十八歳になるまで支給している市町村の名前をそれぞれ示されたい。

  右質問する。