質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一六一第一八号
  平成十六年十二月十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出中小・ベンチャー企業に対する特許関係料金の減免措置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出中小・ベンチャー企業に対する特許関係料金の減免措置等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「特許関係料金減免措置の累計利用者数」が何を指すのか明らかではないが、産業技術力強化法(平成十二年法律第四十四号)第十七条に基づく特許関係料金の軽減措置の制度創設時から平成十五年度末までの適用件数は、審査請求手数料の軽減に関しては二千四百二十件、特許料の軽減に関しては四百八十一件である。

一の2から4までについて

 産業技術力強化法及び産業技術力強化法施行令(平成十二年政令第二百六号)においては、「ソフトウェア・情報処理サービス関連の中小・ベンチャー企業」についても特許関係料金の軽減措置の適用対象となっている。具体的には、ソフトウェア業又は情報処理サービス業に属する事業者の場合、資本の額若しくは出資の総額が三億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が三百人以下の会社であること等の要件を満たせば、特許関係料金の軽減措置を受けることができる。

二について

 特許庁においては、特許出願及び特許に係る審査請求の手続において業種の別を明示させていないため、ソフトウェア・情報処理サービス関連の中小・ベンチャー企業による特許出願件数又は特許に係る審査請求件数を把握することはできない。
 また、特許権の登録件数については、特許出願や特許に係る審査請求と同様、特許権の設定等の登録に係る手続において業種の別を明示させていないため、ソフトウェア・情報処理サービス関連の中小・ベンチャー企業による特許権の登録件数を把握することはできない。
 さらに、アメリカ合衆国においても、特許出願及び特許権の設定等の登録に係る手続において業種の別を明示させていないため、ソフトウェア・情報処理サービス関連の中小・ベンチャー企業による特許出願件数及び特許権の登録件数を把握することができないと承知している。
 なお、「科学技術基本計画」(平成十三年三月三十日閣議決定)において定められた「情報通信分野」に関連する特許出願のうち、平成十五年に出願公開に係る特許公報に掲載された件数は約七万五千件、特許権の設定の登録に係る特許公報に掲載された件数は約一万八千件である。また、アメリカ合衆国における同様の件数については、それぞれ約六万件、約四万件である。

三の1について

 お尋ねの「中小企業が利用者であるこの減免措置の累計利用者数」が何を指すのか明らかではないが、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百九条及び第百九十五条の二に基づく資力に乏しい者に対する特許関係料金の減免又は猶予の措置の制度創設時から平成十五年度末までの法人又は事業を営む個人への適用件数については、特許料の猶予に関しては二件、審査請求手数料の軽減に関しては八十五件である。

三の2について

 中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)の定義による全国の中小企業者数については平成十三年において約四百六十九万であると把握している。
 他方、特許関係料金の減免又は猶予の措置の適用の対象となる資力に乏しい者の要件は、特許法施行令(昭和三十五年政令第十六号)第十四条及び特許法等関係手数料令(昭和三十五年政令第二十号)第一条の二において定められているが、中小企業基本法の定義による中小企業者であって当該要件を満たしているものの数は把握しておらず、資力に乏しい者に対する特許関係料金の減免又は猶予の措置の適用要件を満たしている中小企業者の比率を正確に回答することは困難である。

三の3について

 特許法施行令第十四条及び特許法等関係手数料令第一条の二において定められている資力に乏しい者に対する特許関係料金の減免又は猶予の措置を適用するための要件の一つとして、設立の日以後十年を経過していないことが規定されているが、これは、設立後間もない企業は、一般的に、事業が必ずしも確立されていないために信用力が乏しく資金調達が困難であるとの理由による。
 なお、中小企業者に対する支援措置については、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法(平成七年法律第四十七号)等においても同様の趣旨から所要の規定が設けられており、本要件は、これらの規定の例によったものである。

三の4及び5について

 資力に乏しい者に対する特許関係料金の減免又は猶予の措置を適用するための要件から設立の日以後十年を経過していないことを除外した場合には、相当数の中小企業者が新たに当該措置の対象となることが推測される。
 しかしながら、三の2についてで述べたとおり、中小企業基本法の定義による中小企業者のうち当該要件を満たしているものの数を把握していないことから、新たに当該措置の対象となる中小企業者数を定量的に予測することは困難である。
 同様に、特許特別会計に与える財政的影響についても、定量的に予測することは困難である。

三の6について

 三の3についてで述べたとおり、資力に乏しい者に対する特許関係料金の減免又は猶予の措置は、設立後間もない企業は、一般的に、事業が必ずしも確立されていないために信用力が乏しく資金調達が困難であるとの理由により措置しているものであり、設立の日以後十年を経過していないことという要件を、引き続き当該措置を適用するための要件の一つとして維持することが適当であると考える。
 なお、このような中小企業者に対する特許関係料金の減免制度や、特許権の取得を目指す中小企業者を対象とする先行技術調査の支援制度等の支援策の一層の周知徹底を積極的に講じていくこととしている。

四について

 平成十四年度に実施した監査法人による特許庁における業務の処理についてのコスト試算において、特許に係る審査に要する一件当たりの実費はおおむね二十五万円から三十万円と算出されている。
 この実費に対して、特許法等の一部を改正する法律(平成十五年法律第四十七号。以下「改正法」という。)による改正前の審査請求手数料の規定に基づく平均的な特許出願の一件当たりの審査請求手数料の納付の額は約十万円であって、実費をかなり下回る額となっており、実費に相当する額と現実の納付の額との差額は、主として特許料によって補われる構造となっていたところである。
 改正法による特許関係料金の改定は、特許特別会計の収支のバランス等に考慮を払いつつ、出願人に対して十分な先行技術調査や知的財産管理への取組を促すため、なるべく実費に近づけるよう審査請求手数料を引き上げるとともに、特許料を引き下げたものである。
 なお、この改定によって平均的な出願における特許庁に納付すべき料金の総額は低減されることとなった。