質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一六一第六号
  平成十六年十一月二十六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員小池晃君提出社会保険庁による年金給付ミスに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出社会保険庁による年金給付ミスに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「一連の社会保険オンラインシステムのトラブル」とは、社会保険オンラインシステム(厚生年金保険、国民年金等の適用及び保険料の徴収、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付、年金相談等に使用するコンピュータシステムをいう。以下同じ。)のコンピュータプログラムの誤りによる年金給付の誤りであって、社会保険庁が平成十五年六月以降に公表した一連のものを指すと考えるが、お尋ねの事項については、次のとおりである。
 平成十五年六月二十七日に公表した、年金給付システム(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付、年金相談等に使用される年金給付システムをいう。以下同じ。)の一部を即時処理とするためにコンピュータプログラムを変更した際に生じた、配偶者に対して在職による年金給付の支給停止額の改定が行われた場合に厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第四十四条第一項に規定する老齢厚生年金の加給年金額等(以下「加給年金額」という。)を支給停止するためのコンピュータプログラムの誤りによる加給年金額の過払については、過払対象人数は六千二百四十九人、過払合計金額は二十四億千五十一万五千九百二十円である。
 平成十六年八月六日に公表した、老齢厚生年金の受給権発生月に厚生年金保険の被保険者の資格喪失があり、かつ、資格喪失日と同じ日に新規の資格取得及び賞与の支給があった場合の年金額を計算するためのコンピュータプログラムの誤りによる年金額の過払及び未払については、過払対象人数は三十八人、過払合計金額は一万七千九百五十六円であり、未払対象人数は十一人、未払合計金額は六千二百十八円である。
 同日付で公表した、年金給付システムの一部を即時処理とするためにコンピュータプログラムを変更した際に生じた、配偶者に対して退職による年金額の改定が行われた場合に加給年金額を支給停止するためのコンピュータプログラムの誤りによる加給年金額の過払については、同日以降、その対象人数及び過払金額について調査を行っているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
 平成十六年十月八日に公表した、厚生年金保険法第百二十二条に規定する厚生年金基金の加入員であった期間がある者の在職による年金給付の支給停止額を計算するためのコンピュータプログラムの誤りによる年金額の過払及び未払については、過払対象人数は四千九百三十八人、過払合計金額は十万二千九百四十八円であり、未払対象人数は五千四人、未払合計金額は十万千二百四円である。
 なお、年金給付の誤りには、社会保険庁において平成十六年十月十九日に公表した年金給付からの介護保険料の徴収の誤りなど、社会保険オンラインシステムのコンピュータプログラムの誤りではなく、事務処理の誤りによって生じたものもある。

二について

 社会保険オンラインシステムのコンピュータプログラムの誤りの原因は、社会保険庁社会保険業務センターからシステム開発を委託した業者への指示が適確に伝達されていなかったこと及びシステム運行の事前確認が十分でなかったこと等によるものである。その防止対策については、社会保険庁に設置した事故再発防止策検討委員会が平成十五年十二月十八日に取りまとめた事故再発防止策検討委員会報告書に基づき、システム開発の委託先に行う指示を文書に基づくものとすることを徹底したほか、システム開発における事前確認の充実を図るなどの対策を講ずることとしたところである。
 なお、平成十五年六月二十七日に公表した年金給付の誤りを契機として、年金給付システムの総点検を行っており、コンピュータプログラムの誤り等が明らかになったものから、対象者の方々におわびするとともにその誤りの内容について公表しているところである。また、社会保険オンラインシステムのコンピュータプログラムの誤りではなく、事務処理の誤りを防止するための対策については、同報告書に基づき、年金額の改定等の事務手続を行うために使用する事務処理要領の整備を図るなどの対策を講ずることとしたところである。