質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二七号

政治資金の透明化についての政府の対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十二月三日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   政治資金の透明化についての政府の対応に関する質問主意書

 近年の政治家や政治団体に関連した数々の事件によって、国民の政治不信は深まるばかりである。特に、政治資金に関する事件は、社会的な悪影響が大きいため、政治資金の透明化に関して、政府はもとより国民全員が真剣に対応しなければならない状況となっている。これらの状況に対応して、各方面では、政治資金規正法の改正等について精力的に検討を行ってきているところである。
 そこで、以下のとおり質問する。

一、政治資金規正法及び政治資金全般を所管する総務省は、政治資金課において、これらの所管事項について対応している。以下、この政治資金課について質問する。

1 現行の政治資金規正法は、すべての政治団体の会計責任者に対して、毎年、いわゆる政治資金収支報告書を提出することを義務付けている。この政治資金収支報告書は、国民が政治資金について知ることのできる公式情報の大部分の情報を含んでいるが、これらの政治資金収支報告書のうち総務大臣に提出されるものの真偽の確認を、提出時若しくは提出直後の時期に、総務省政治資金課はどの程度行っているのか示されたい。
2 現在の政治資金課が行う政治資金収支報告書の真偽確認は、現在の社会問題となっている政治資金の透明化のために十分なものであるか、政府の見解を示されたい。

二、政治資金の透明化には、政治資金収支報告書の公表を質的・量的にも拡大することが適当であり、この拡大には、政治資金収支報告書の電子化が欠かせないと思われる。以下、この政治資金収支報告書の電子化について質問する。

1 政治資金収支報告書の電子化は、行政の情報化の一環として検討項目となっているほか、平成十四年分の政治資金収支報告書のうち総務大臣に提出されるものが電子データで総務省のウェブサイト上に公開されたこと等により、着実に進捗していると思われるが、今後どのように政治資金収支報告書の電子化の拡大を考えているか、政府の見解を示されたい。
2 現行の政治資金規正法は、ある年の政治資金収支報告書を、その要旨が公表された日から三年を経過する日まで保存しなければならないとしているが、政治資金収支報告書が電子化された場合、この三年という期間を超えて保存が物理的に可能かどうか、政府の見解を示されたい。
3 現行の政治資金規正法では、毎年九月中旬の日に、前年度分の政治資金収支報告書の要旨を官報掲載し、その日から政治資金収支報告書の閲覧を可能としている。このとき、閲覧可能となった政治資金収支報告書は、その前年度である三月末までに提出された政治資金収支報告書であり、提出から官報掲載まで六か月程度が経過している。政治資金収支報告書が電子化された場合、提出後早急に官報掲載等の公表ができるか、政府の見解を示されたい。

三、政治資金は、大部分が政治団体の資金として運用されている性質上、政治資金の透明化には、政治団体が扱う政治資金の税制面及び会計監査面からの対応も必要であるかと思われる。以下、この政治団体が扱う政治資金の税制面及び監査面からの検討について質問する。

1 政治資金収支報告書における政治団体の収入には複数の項目が存在している。そのうち、機関紙誌の発行その他の事業による収入項目等による収入の一部は、法人税法上の収益事業による収入として課税が適当であるものが存在すると思われる。政治団体が扱う政治資金の税制面の諸問題を所管する財務省は、法人税法上の収益事業を行っている政治団体の実態をどの程度把握しているか示されたい。
2 誠に遺憾ながら、政治団体に対する寄附に極度に反応する法人は多く存在するのが現実である。そのうちの多くは、会計監査を担当する公認会計士等が、政治団体に対する寄附のリスクを指摘するからであると思われる。
 不正経理を行っている政治団体に寄附を行うリスクの指摘は的を射た指摘だと思われるが、政治団体全体に対する寄附自体をリスクと指摘する例も多々見られるのが現実である。会計監査面の諸問題を所管する金融庁は、後者のような例を認識しているかどうか、また、どのようにこの問題に対処することを考えているか示されたい。
3 以上のことを踏まえ、政治資金全般を所管する総務省、政治資金の税制面の諸問題を所管する財務省及び政治資金の会計監査面の諸問題を所管する金融庁は、政治資金の透明化のために、連携して各施策を行うべきだと考えるが、どのような連携を行っているか、また行っていくことを考えているか示されたい。

  右質問する。