質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

電波利用料制度の見直しの基本的考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十二月三日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   電波利用料制度の見直しの基本的考え方に関する質問主意書

 総務省は、二〇〇二年一月より、総務省総合通信基盤局長の私的研究会である電波有効利用政策研究会(以下「本研究会」とする。)を開催し、電波政策の見直しに関する検討を行ってきた。二〇〇四年一〇月一日には、本研究会は最終報告書(以下「本報告書」という。)を公表し、その中で電波利用料制度の改正を提案している。そして、総務省は二〇〇四年一一月八日の報道発表で、本報告書の内容に沿って作成されたと思われる「電波利用料の料額算定に関する具体化方針(案)」を公表している。しかし、本研究会、本報告書及びそれに付随する総務省の対応について疑問点があることから、各種団体や個人が、各種の意見を述べているところである。
 そこで、以下のとおり質問する。

一、本研究会は、あくまでも総務省の一局長の私的研究会である。以下、この私的研究会について質問する。

1 本報告書が記述する意見等は、本研究会の意見等であるのは当然であるが、この意見等は、現在、総務省としての公式見解となっているのか示されたい。
2 次期通常国会において、政府は、電波利用料制度の改正に関して、電波法関連法を改正するための法律案を提出する計画であるかどうかについて示されたい。
3 各省庁の私的研究会の報告書等に基づいて、政府が改正法律案等を提出する場合は、私的研究会の報告書等が各省庁又は政府の公式見解であることを公表するか、若しくは私的研究会の報告書等のうち各省庁又は政府の公式見解である部分がどこであるかを公表した上で、改正法律案等を提出すべきものと考えるが、この点について政府の見解を示されたい。
4 二〇〇一年一月の省庁再編に伴って行われた審議会の統廃合以降、各省庁は、従前の審議会ではない私的研究会を多く設置して各種政策検討を行っている。しかし、審議会の統廃合は審議会の効率化及び透明性向上のために行われてきたものであり、これらの私的研究会設置の事実は審議会統廃合の目的から逸脱していると思われるが、この点について政府の見解を示されたい。

二、本報告書は、新たな電波利用料制度の在り方について提案している。以下、この新たな電波利用料制度について質問する。

1 現在の電波利用料制度では、「無線局全体に利益のある国費支出」を電波利用共益費用として電波利用料収入で負担してきた。また、「無線局全体に利益のある国費支出」以外で「電波利用者に利益のある国費支出」を電波行政費用として一般財源で負担してきた。この「無線局全体に利益のある国費支出」の区分及び「電波利用者に利益のある国費支出」の区分の定義について明確に示されたい。
2 新たな電波利用料制度は、現在の電波利用料制度では電波利用共益費用として支出してきた区分の一部の区分及び新たな支出区分について、新たな「使用料」概念での電波利用料収入で対応することとしている。現在の電波利用料制度では、電波利用共益費用として支出してきた区分の一部の区分であり、新たな「使用料」概念での電波利用料収入で対応することとしている技術試験事務等は、「無線局全体に利益のある国費支出」の区分であるか「電波利用者に利益のある国費支出」の区分であるかについて示されたい。
3 現在の電波利用料制度での解釈では「電波利用者に利益のある国費支出」として一般財源で負担している国費支出の区分について、新たな電波利用料制度では、一般財源ではなく電波利用料収入で対応することとしているのかについて、その理由を示されたい。
4 以上のことより、電波利用共益費用の性格を持つ現在の電波利用料制度とは別の制度として、歳入としての「使用料」概念での新制度を検討するのではなく、新たな電波利用料制度を共益費用の性格と使用料の性格の両方を含めた電波利用料制度としているのはなぜか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。