質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

イラク戦争の正当性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十一月一日

櫻井 充   


       参議院議長 扇 千景 殿



   イラク戦争の正当性に関する質問主意書

 先般のイラク戦争は、「大量破壊兵器が存在し、それが周辺国に脅威を与えるから」ということを根拠に米国がイラクを攻撃し、日本もそれを支持した。ところが、本年十月六日、米国のイラク監視グループ(調査団)のチャールズ・デュエルファー団長は、イラク戦争開戦時にはイラク国内に大量破壊兵器は存在せず、開発計画も無かったとする最終報告書を米国議会に提出した。これによりイラク戦争を支持する大義は無くなった。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、「イラクでの大量破壊兵器の存在が国際社会の平和と安全を脅かしている」として、イラク戦争を開始する米国を支持したが、イラクに大量破壊兵器が存在する旨の情報をどこから入手したのか。また、この情報を受けたことを一つの根拠として政府は米国支持の判断を下したが、この誤った情報についてどのように考えるのか。さらに、結果的に政府は判断ミスを犯したことになるが、この情報源に対し抗議を行わないのか。

二 英国のブレア首相は、イラクを攻撃した正当性を未だに主張している。しかし、イラクに大量破壊兵器があるという情報が結果として誤っていたことを認めて、謝罪を行った(本年十月十三日英国下院における質疑に対する答弁)。同じように、日本政府はイラクに大量破壊兵器が無かったことを認めるのか。また、政府は、戦争開始時の自らの判断が誤っていたことについて謝罪を行わないのか。

三 現在、世界では、米国、英国、フランス、ロシア、中国の五か国だけが大量破壊兵器である核兵器を保有している。核兵器保有国の一つである米国が、大量破壊兵器の疑惑があるという理由だけでイラクを攻撃したこと自体許すことはできないのではないかと考えられるが、政府の見解を示されたい。

四 イラク以外にも、非核保有国の中に、核の保有・開発が疑われている国が存在するが、なぜか米国はイラクだけに攻撃を行い、こうした疑惑国に攻撃を行わない。このような米国の姿勢を政府はどう考えるのか。

五 大量破壊兵器を持ち、自国の勝手な判断で他国に大義なき戦争を仕掛ける米国の姿勢は大変問題が多いのではないか。日本政府としても、同盟国として盲目的に支持するのではなく、このように誤った判断を下している国に対して、適切な意見を述べていくことが必要ではないか。これらについて政府の見解を示されたい。

六 政府は、国連決議六七八、同六八七、同一四四一のいずれかが、米国によるイラク攻撃の正当性の根拠の一部となりうると考えているのか。考えていないのであれば、何を根拠にしたと考えているのか。

  右質問する。