質問主意書

第160回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一六〇第三号
  平成十六年八月十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員小川敏夫君提出年金改正法にかかわる総理大臣等の発言等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小川敏夫君提出年金改正法にかかわる総理大臣等の発言等に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の小泉内閣総理大臣の発言の趣旨は、公的年金の一元化は望ましい方向であるものの、その実現のためには、自営業者の所得をどのように捕そくするのか、保険料の事業主負担をどう考えるかなど基本的な事項があり、これらの課題を含めて検討していくことが適当であるということである。

二について

 国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「改正法」という。)附則第二条第一項の趣旨は、夫が平均的な賃金で被用者として四十年間就業し、妻がその全期間専業主婦であった世帯について、六十五歳となり年金を受給し始める時点における厚生年金と夫婦二人の基礎年金を合わせた額の現役男子被保険者の平均的な手取り賃金に対する割合が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するということであるが、御指摘の坂口厚生労働大臣の答弁も同様の趣旨を説明したものであり、従来からの政府の説明と矛盾するものではない。

三について

 御指摘の答弁は、事前の通告なく行われた質問に対するものであり、それをもって法律案提出の最高責任者としての適格性を議論することは適当でないと考える。

四について

 改正法による年金制度改正は、少なくとも五年ごとに財政再計算を行うことを改め、将来の給付の下限と負担の上限を定めるとともに、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第八十五条第一項第一号に規定する基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に改めるなど、長期的に給付と負担の均衡を確保する抜本的な改革であると考えている。
 一方、今回の年金制度改正を踏まえつつ、さらに政府においては内閣官房長官が主宰する社会保障の在り方に関する懇談会を開催し、年金制度の一元化を含む社会保障制度全般について、制度横断的な観点から、基本的考え方や税、保険料等の負担や給付の在り方などについての議論を開始したところである。また、改正法附則第三条第一項の規定に基づく見直しについても、今回の年金制度改正を踏まえた今後の課題であると認識している。

五について

 御指摘の発言は、厚生年金保険の被保険者となるか否かは、個別具体的な事例に即して判断することとなり、外見的には直接その適用事業所の仕事を行っていると思われないような場合であっても、適用事業所からの指揮又は命令を受け、労務の対償として報酬を受けている場合には、これらを総合的に勘案して厚生年金保険の被保険者となる場合もあり得るということを踏まえて行ったものであり、これを撤回すべきであるとは考えていない。