質問主意書

第160回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

社会保険庁予算の開示の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年八月五日

山本 孝史   


       参議院議長 扇 千景 殿



   社会保険庁予算の開示の在り方に関する質問主意書

 社会保険庁による保険料の流用問題が大きく報道されている。
 社会保険事務費は、本来的に、年金・健康保険の徴収・給付事務に要する費用として計上されているはずである。しかるに、社会保険庁長官の交際費、職員用ゴルフ練習場のクラブ・ボール購入費、職員宿舎の建設費、公用車の購入費、マッサージ器の購入費などへ支出していたことが次々と発覚した。
 社会保険庁による社会保険料のずさんな運用・管理を許してきた背景の一つには、社会保険庁としての予算が外部に対して明瞭に開示されてこなかったことがあると思われる。一般会計の予算書を見ると、厚生労働省所管の組織の中に社会保険庁が挙げられていないのである。一般会計の予算書は、組織別事項別内訳として、「組織」「項」「事項」の順に分類され、それぞれの事項に予算額が計上されているが、社会保険庁については、一組織としての予算が明示されず、厚生労働省の予算の中に組み込まれ、表に出てこない仕組みになっている。同じ徴収官庁である国税庁を始め、文化庁、特別会計を有する林野庁などは、一般会計の予算書に一組織として掲載されている。他庁における予算開示の状況と比較すれば、これだけでも社会保険庁予算が透明性に欠けることは明らかであり、その「闇」の深さを感じさせる。
 社会保険庁の運営・管理に関する情報を開示し、透明性を確保することは、組織を健全化させ、国民の信頼を回復する上での基本的な前提条件である。広く国民に批判を求めうる環境を整備することによって、職員の意識変革が促され、事業の効率化、質の向上につながっていくことが期待される。したがって、社会保険庁の予算を明らかにすることは、野放図な社会保険料の流用を防止し、社会保険庁の健全化に向けた取組を推進する上で、極めて重要な課題である。
 このような観点から、以下質問する。

一、一般会計の予算書上、社会保険庁については、一組織としての予算が明示されていない。その理由は何か。

二、一般会計、特別会計及び各勘定間の繰入・受入など、社会保険庁予算の仕組みについて分かりやすく説明されたい。

三、平成十六年度予算において、厚生保険特別会計の業務勘定では、八百二十九億九千六百七十三万五千円を一般会計より受け入れ、業務取扱費財源に回しているが、業務取扱費の額としては、千五百二十九億九千六百万五千円を計上している。この差額は何を財源に埋めているのか。
 同様に、国民年金特別会計の業務勘定では、七百十億二百三十二万八千円を一般会計より受け入れ、業務取扱費財源に回しているが、業務取扱費の額としては、千四百九億八千二百四十六万九千円を計上している。この差額は何を財源に埋めているのか。

四、平成十六年度予算における社会保険庁の人件費はいくらか。

五、平成十六年度予算における社会保険庁の事務費はいくらか。

六、平成十六年度予算における社会保険庁の施設整備費はいくらか。

七、人件費、事務費等の社会保険庁自体を運営するための経費は、厚生保険特別会計の業務勘定、国民年金特別会計の業務勘定及び船員保険特別会計の三つに計上された額を合算したものであるという理解でよいか。

八、社会保険庁自体を運営するための経費は、どのような積算根拠によって計上され、その内訳はどのようになっているのか。少なくとも人件費、事務費、施設整備費等経費のそれぞれについて、その積算根拠と支出内容が把握できるように、予算書の書き方を工夫すべきであると考えるが、どうか。

九、平成十六年度厚生労働省所管特別会計歳入歳出予定額各目明細書における厚生保険特別会計及び国民年金特別会計の業務勘定並びに船員保険特別会計に計上された歳出予算額について、「項」「事項」「目の区分」の分類ごとに、保険料を財源とするものと税金を財源とするものに分けて示されたい。

十、社会保険庁の事務費を一般会計で賄うことが検討されているが、そうなれば、なおさら一般会計に組織として明示する必要が出てくると思われる。この問題に対する政府の今後の対応を示されたい。

  右質問する。