質問主意書

第160回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

タクシーの台数規制廃止による弊害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年八月五日

櫻井 充   


       参議院議長 扇 千景 殿



   タクシーの台数規制廃止による弊害に関する質問主意書

 平成十四年二月改正道路運送法が施行されて、タクシーの台数規制がなくなった。これにより、大幅にタクシー台数は増加し、運賃の値下げ競争が行われるようになっている。国会でこの法律を審議した際、政府は「輸送の安全や利用者利便の確保に関する措置を講じることにより、利便性が高く、安全で安心なサービスの提供を図り、事業の活性化と発展を図る。」旨答弁していたが、実際は、ルールなき競争による労働条件の悪化、無理な運転による交通事故の増加、増加した車による交通渋滞の発生等、多数の弊害が生まれている。政府は、こうした現実に目を向けて、タクシー事業が発展していくようにしなければならない。
 このような観点から、以下質問する。

一 この規制緩和により、どの程度タクシーが増加し、今後どれくらいの総数となることを見込んでいるのか。過去五年間(平成十一年から平成十五年まで)のタクシーの総数・増加数・増加率の実績及び今後五年間(平成十六年から平成二十年まで)のタクシーの総数・増加数・増加率の想定を全国合計及び各都道府県別にそれぞれ示されたい。

二 政府は、タクシーの台数はいくらでも増えても構わないと考えているのか。増え過ぎた場合は、再び台数規制を行うのか。

三 これまでに、緊急調整措置はどこでどのような場合に発動されているのか。また、発動するときの基準を明らかにされたい。

四 行き過ぎた値下げ競争をどのように考えているのか。例えば、最低限の運賃を定めるなどの措置は採らないのか。また、運賃の低下によるドライバーの労働環境が悪化しているが、政府はこれを放置するのか、それとも何か対策を講じるのか。

五 タクシー乗り場では、多様な運賃が混在するため、安価な運賃の車や乗りやすい位置にある車が先に客を乗せて出て行くことが起きており、順番待ちのルールが崩れるなどしているが、これについてどのように考えるか。

六 政府は、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(自動車NOx・PM法)に基づく告示(平成十四年四月三十日付け「自動車運送事業者等の判断の基準となるべき事項」)において、タクシー事業者が、車両走行量の削減、需要動向に応じた車両管理、無駄な走行の削減に努めなければならない旨を定めているが、道路運送法によるタクシー台数の規制緩和はこれに逆行するものではないのか。この矛盾を政府はどのように説明するのか。

七 この規制緩和でどれくらい利用者の利便性は向上したのか。アンケートで得られたデータなど具体的な数値で示されたい。そのような数値がないのであれば、今後アンケートを行う予定はあるのか。

八 右記のような点を総合的に見て、この規制緩和は社会にとってよいものなのか、悪いものなのか。また、今後もこの規制緩和を続けていくつもりなのか。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。