質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第三四号

内閣参質一五九第三四号
  平成十六年七月十三日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員岩佐恵美君提出風力発電の鳥類に与える影響(バードストライク)の防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岩佐恵美君提出風力発電の鳥類に与える影響(バードストライク)の防止に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国の風力発電施設の設置状況等については、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)が単機出力十キロワット以上のものについて調査を行い、その結果を取りまとめて公表しているところであるが、当該調査の結果によれば、本年三月末時点において、我が国に設置されている風力発電施設(単機出力十キロワット以上のものに限る。)の設置者、設置場所、定格出力及び台数は、別表のとおりである。また、NEDOからは、お尋ねの「施設名」は把握していないと聞いている。

二について

 風力発電施設の設置による鳥類への影響としては、衝突による死傷(以下「バードストライク」という。)が特徴的なものであると認識している。
 環境省においては、絶滅のおそれのある鳥類の死体や傷病個体について情報が得られた場合には、必要に応じてそれらの死体等を収容し、死因等についての調査を実施しているところであるが、かかる調査の結果把握されたバードストライクである可能性が高い事例としては、本年二月に北海道において収容されたオジロワシの死体の例が挙げられる。

三について

 平成十三年七月に総合資源エネルギー調査会が策定した長期エネルギー需給見通しにおいて、平成二十二年度の風力発電の導入目標が三百万キロワットと設定されているところ、資源エネルギー庁においては、その目標の達成に向けて風力発電施設の設置を促進するため、風力発電施設を設置する事業者等に対し「新エネルギー事業者支援対策費補助金」を交付しているところであるが、その際、事業者等には、生態系を含む環境への影響に係る調査の実施を求め、バードストライクに係る問題についても配慮をしているところである。
 また、特に、国立公園及び国定公園の特別地域(特別保護地区を含む。以下「特別地域」という。)に設置される風力発電施設については、本年四月に施行した自然公園法施行規則の一部を改正する省令(平成十六年環境省令第六号)において、その新築、改築又は増築に関する許可の審査基準を新たに追加し、「野生動植物の生息又は生育上その他の風致又は景観の維持上重大な支障を及ぼすおそれがないものであること」との要件を規定したところであり、この審査基準の適切な運用により、特別地域における風力発電施設の設置に伴うバードストライクの発生による鳥類への影響を軽減できるものと考えている。

四について

 「風力発電導入マニュアル」(平成九年三月環境庁企画調整局地球環境部作成)は、地方公共団体が自ら風力発電を導入する際に確認すべき事項を取りまとめたものであり、お尋ねの渡り鳥に係る調査についても、当該地方公共団体が実施すべき調査として示したものである。このため、環境省では、当該マニュアルに基づく調査は実施していない。
 渡り鳥の主要な経路の解明については、環境省において、発信機を利用した追跡調査等により渡り鳥の移動経路に関するデータを集積してきているところであるが、このようなデータは、風力発電施設の設置に係る事前調査での活用を通じ、風力発電施設の設置による鳥類への影響の軽減にも資するものであり、引き続き、データの集積に努めてまいりたい。

五について

 風力発電施設の設置に際し、お尋ねの「環境影響評価」を事業者に義務付ける法令は存在しないが、一般に、事業者は、その事業活動を行うに当たって、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第八条の規定に基づき、事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有しており、風力発電施設を設置する事業者についても、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することが望ましいと考えているところ、三についてで述べたように、「新エネルギー事業者支援対策費補助金」の交付に際しては、事業者に環境への影響に係る調査の実施を求めているところである。

六について

 電源開発株式会社から資源エネルギー庁に対してなされた、福島県の会津布引高原における風力発電事業に係る「新エネルギー事業者支援対策費補助金」の交付申請については、今後、石油代替効果、普及可能性等に関して審査を行い、交付の可否を決定することとなるが、当該風力発電事業については、福島県環境影響評価条例(平成十年福島県条例第六十四号)の規定に基づき、適正な手続を経て環境影響評価が実施されているものと承知している。

別表 1/6

別表 2/6

別表 3/6

別表 4/6

別表 5/6

別表 6/6