質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質一五九第三三号
  平成十六年七月十三日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員岩佐恵美君提出沖縄のジュゴンの保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岩佐恵美君提出沖縄のジュゴンの保護に関する質問に対する答弁書

一について

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号。以下「法」という。)の制定時において、所管省庁である当時の環境庁としては、水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第四条第一項の規定に基づき採捕の制限等の措置が講じられる水産動植物については、法第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種に選定しないこととしていた。
 その後、ジュゴンについては、採捕の制限等の措置の実施のみならず、保護増殖の促進など、法に基づく総合的な保護対策を実施することが必要となっていることから、国内希少野生動植物種に選定しないこととする取扱いを改めたところである。
 また、環境省において平成十三年度から平成十五年度までの間において実施した「ジュゴンと藻場の広域的調査」は、沖縄本島の周辺海域に生息するジュゴンの保護対策の検討に必要な情報やデータを収集することを目的として実施したものである。

二について

 ジュゴンに関する右の調査の結果では、ジュゴンは沖縄本島の周辺海域での確認頭数が極めて少なかったことから、希少野生動植物種保存基本方針(平成四年総理府告示第二十四号)第2の1の(1)において定められた国内希少野生動植物種に選定され得る種(以下「選定対象種」という。)の要件のうち、少なくとも「その存続に支障を来す程度に個体数が著しく少ないか、又は著しく減少しつつあり、その存続に支障を来す事情がある種」に該当すると考えている。

三について

 国内希少野生動植物種については、選定対象種の要件に該当すると考えられる種のうちその選定に関し関係者の理解が得られたものから順次選定し、保護のための施策を講じているところである。
 本年七月に公布された絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成十六年政令第二百二十二号)において新たに国内希少野生動植物種として定められた十一の動植物種にはジュゴンは含まれていないが、これは、ジュゴンに関し絶滅のおそれがないとの判断を行ったからではなく、国内希少野生動植物種として選定するためには、その生態等保護対策の検討に必要な情報やデータを収集するとともに、関係者の理解を得る必要があることによるものである。

四について

 アメリカ合衆国軍隊の演習等によるジュゴンの生息環境への影響については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条第一項に基づき設置された合同委員会の下にある環境分科委員会の枠組みを通じて、アメリカ合衆国に対し、ジュゴンの保護に関して配慮を求めているところである。
 また、環境省においては、漁網によるジュゴンの混獲への対策として、ジュゴンを混獲した場合に速やかに漁網から放流又は収容する方法を「ジュゴン・レスキューマニュアル」として取りまとめ、地元関係者に対する周知に努めているところである。

五について

 これまで、四についてで述べた措置を始めとする圧迫要因を除去するための措置を講じてきているところであるが、引き続き、ジュゴンの生態等に関する知見を収集し、生息条件の整備並びに個体数の維持及び回復を図るための措置を検討してまいりたい。

六について

 ジュゴンについては、国内希少野生動植物種としての選定に向けて、引き続き、その生態等保護対策の検討に必要な情報やデータを収集するとともに、関係者の理解を求めてまいりたい。