質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七号

内閣参質一五九第二七号
  平成十六年七月六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員又市征治君提出行政書士法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出行政書士法に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの事例では、甲は自動車登録に関する諸手続について申請者の代理人となって当該手続に係る申請書の作成を乙に依頼するものと考えられるところであり、申請者及び申請者の代理人である甲が行政書士法(昭和二十六年法律第四号)第一条の二第一項に規定する「他人」に該当するものと考えられる。

二について

 申請者及び申請者の代理人である甲が行政書士法施行規則(昭和二十六年総理府令第五号)第十条に規定する「依頼人」に該当し、乙は申請者又は申請者の代理人である甲に領収証を交付しなければならないものと考えられる。

三について

 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)においては、同法第七十二条の規定により、弁護士又は弁護士法人でない者が法律事件に関して代理その他の法律事務を取り扱い、又はその周旋をすることを業とすることが禁止されている。他方、行政書士法においては、行政書士でない者が申請者を代理して同法第一条の二に規定する書類の作成を依頼し、又は同条に規定する書類の作成業務を周旋することを業とすることは禁止されておらず、本事例のように、甲が申請者の代理人として乙に申請書の作成を依頼する行為は、同法に違反するとはいえない。

四について

 行政書士法施行規則第五条第一項の規定により、行政書士はその事務に関して補助者を置くことができることとされており、出向契約の有無にかかわらず、甲の従業員を補助者として乙の業務に従事させることは同規則第四条の規定に反するものではない。

五について

 乙は、申請者の代理人である甲の依頼に応じて行政書士の業務を行うものであり、このような乙の行為は、行政書士法第十四条第一項の懲戒事由に該当するとはいえない。

六について

 行政書士法第十九条第一項ただし書に規定する総務省令においては、電子情報処理組織を使用することにより定型的かつ容易に行うことができる行政手続が整備され、かつ、当該手続に関して相当の経験又は能力を有する者がいる場合に、当該手続及びその者を定めることとしている。

七について

 行政書士法第十二条に規定する守秘義務又は同法第十条の二に規定する報酬の額の掲示等の義務は、行政書士に対して課されるものであり、同法第十九条第一項ただし書に規定する総務省令で定める者に対しては課されない。

八について

 本事例における甲又は乙の行為は行政書士法に違反するとはいえず、同法の趣旨を損なうものとはいえない。
 また、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する電磁的記録を作成することは行政書士の業務であり、同法第十九条第一項の規定により、行政書士でない者がこれを業として行うことは原則として禁止されている。ただし、この例外として、同項ただし書に規定する総務省令で定める手続について、同項ただし書に規定する総務省令で定める者が電磁的記録を作成することは認められており、この場合には、行政書士が関与する必要はない。