質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一五九第一七号
  平成十六年五月十四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出学校法人東北文化学園大学への監督及び国庫補助に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出学校法人東北文化学園大学への監督及び国庫補助に関する質問に対する答弁書

一について

 今国会で成立した私立学校法の一部を改正する法律(平成十六年法律第四十二号)においては、学校法人に対して、利害関係人からの請求に応じて財産目録等を閲覧に供することを義務付けることとされている。
 また、法律上の義務付けに加えて、各学校法人が自主的な判断によって、財務情報の公開方法を工夫し積極的に公開していくことは、学校法人の公共性にかんがみ望ましいことであると考えており、財産目録等の写しの交付など財務情報の積極的な公開への取組を奨励してまいりたい。

二について

 御指摘の「寄付者リスト」については、特定の個人を識別することができる情報を含むことから、その全面的な公開については、個人の権利利益を害するおそれがあり、慎重に判断する必要があると考える。

三について

 御指摘の事項については、現在調査中であり、今後どのような対応を採るべきかについては、事実を確認した上で、総合的に判断してまいりたい。

四について

 御指摘の事項について事実関係を詳細に把握するため、平成十六年四月二十七日に文部科学省の担当職員を当該学校法人へ派遣し、当該学校法人の関係者等から事情聴取するとともに、会計処理方法等の確認を行うなど調査を進めてきた。その結果、認可申請書に添付された書類上の寄付者の一部が寄付の事実を否定していることが判明したところである。現在、当該学校法人に対してすべての事実の迅速かつ明確な報告を求める等、引き続き事実関係について調査しているところである。

五について

 私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)に基づく学校法人に対する国庫補助については、公教育の担い手である私立学校における教育の振興を図ることを目的とするものであり、学校法人においては、その公共性及び社会的責任を十分に自覚しつつ、健全な運営を自主的に行っていくことが求められる。仮に、学校法人の管理運営が適正さを欠く等の事実がある場合には、私立学校振興助成法等の規定により、補助金を減額して交付すること又は交付しないことができるとされているとともに、既に交付された補助金を返還させることも可能となっており、具体的な場合においてどのような措置を採るかについては、個別具体的な事案に即して判断することになる。

六について

 今回の問題については、現在、事実関係を引き続き調査しているところであるが、今後、解明された事実関係に基づき、当該学校法人に対する補助金の返還等を含め、厳正に対処すべきであると考えている。

七について

 当該学校法人から、大学の学部の設置等に係る認可申請書が提出されていない現時点においては、認可に係る何らかの判断をお示しすることは困難である。

八について

 学校法人の管理運営体制の改善については、今国会で成立した私立学校法の一部を改正する法律を踏まえ、今後とも、学校法人の自主性や自律性を尊重することを基本としつつ、理事及び監事並びに評議員会が、各々の役割を踏まえその責任を十分に果たせるよう、必要な指導に努めるとともに、管理運営が適正さを欠く等の事実が確認された学校法人に対しては厳正に対処してまいりたい。
 また、大学の設置等については、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)等の規定に基づき、大学設置・学校法人審議会において調査審議を行った上で認可することとしている。認可の在り方については、これまでも必要に応じて検討や見直しを行ってきたところであるが、今後とも適切に対処してまいりたい。