質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一五九第一二号
  平成十六年四月二十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員浅尾慶一郎君提出公務員の共済年金及び退職金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浅尾慶一郎君提出公務員の共済年金及び退職金に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十四年度末現在において、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金における退職年金(以下単に「退職年金」という。)の平均月額並びに厚生年金における老齢年金(以下単に「老齢年金」という。)の平均月額は、別表のとおりである。

二について

 実際に個々人が受給する退職年金又は老齢年金の額の多寡は、給付の仕組みの違いのみならず、受給者の組合員期間(被保険者期間)の長短や組合員(被保険者)当時の雇用形態等の影響を受けるものである。退職年金と老齢年金とでは、受給者の平均組合員期間(平均被保険者期間)や組合員(被保険者)当時の雇用形態等が異なっており、こうした事情を捨象し、一についてで述べた平均月額を単純に比較して、退職年金の給付水準を論ずることは適当でないと考える。

三について

 国家公務員の退職手当は、勤続報償を基本的性格とするものであり、その支給水準については、官民均衡を図る観点から、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考にして決定しているところである。民間企業の企業年金の多くは、退職一時金と代替的であるなど、退職金制度の一環として機能していることから、民間企業退職金実態調査においては、退職金に相当する企業年金の企業負担分もその対象に含めている。一方、国家公務員共済年金の職域加算部分は、公的年金の中で、公務の能率的運営に資するという観点から、国家公務員に様々な身分上の制約が課されていること等を踏まえて設けられたものであり、その給付水準は民間企業の企業年金の支給水準との関係で設定しているものではない。このように、国家公務員共済年金の職域加算部分は、勤続報償を基本的性格とする国家公務員の退職手当とは異なる性格のものであることから、これを退職金の支給水準の官民比較の対象に含めていない現状は妥当なものであると考える。
 なお、民間企業退職金実態調査において民間企業の平均退職金額に含めている企業年金(企業負担分)の額は、受給形態を年金とするか一時金とするか選択できるものも含め、制度上年金の形態で設計されている退職金の現価額であり、その平均退職金額に占める割合は約三十五・二パーセントである。平成十四年度の国家公務員の退職手当の支給総額は約八千八百七十六億円であることから、三十五・二パーセントに相当する額を単純に計算すると約三千百二十四億円となる。また、平成十四年度の地方公務員の退職手当の支給総額は約二兆千三百八十五億円であることから、三十五・二パーセントに相当する額を単純に計算すると約七千五百二十七億円となる。平成十五年度については、現段階において決算が取りまとめられていないため、これらと同様の額をお答えすることは困難である。

四の1及び2について

 国家公務員の退職手当の支給水準については、官民均衡を図る観点から、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考にして決定しているところであり、国家公務員の労働基本権の制約及び守秘義務とは何ら関係ない。
 なお、本年三月二十三日の参議院予算委員会において、総務大臣が国家公務員の身分上の制約について言及した趣旨は、国家公務員共済年金の職域加算部分が退職手当と異なる性格のものであり退職金の官民比較の対象にはなじまないことについて述べたものである。

四の3について

 保険料率は、職域加算部分の有無等の給付の仕組みの違いのみならず、年金の成熟度、組合員(被保険者)及び受給者の年齢構成、受給者の組合員期間(被保険者期間)、積立金の状況など様々で複雑な要因の影響を受けるものである。したがって、国家公務員共済年金、地方公務員共済年金及び厚生年金の間の保険料率の差と職域加算部分の有無とは直接対応するものではなく、お尋ねの認識は当たらないと考える。

別表