質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質一五九第五号
  平成十六年二月二十七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出北海道警察の裏金づくりに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出北海道警察の裏金づくりに関する質問に対する答弁書

一について

 会計検査院は、警察庁については毎年、警視庁及び全国の警察本部についてはその予算規模に応じて毎年又は数年に一回の割合で検査を実施している。
 検査に当たっては、物品購入、役務契約、施設整備、捜査費など警察の会計経理のうち、国費で支弁されているものを中心に実施している。
 近年、捜査費に関しての報道があり、また過去に国会で議論されたことでもあり、捜査費については厳正に検査を実施している。

二について

 これまでの検査では、警察において国費の旅費や捜査費をいわゆる裏金づくりに流用していたというような事実は確認していない。

三について

 会計検査院が実地検査を行う場合、法律上は事前に通告しなければならないことにはなっておらず、無通告検査も可能である。
 しかしながら、限りある職員をもって、検査対象機関の膨大な会計経理を効率的かつ効果的に検査するためには、受検庁にある程度関係書類を整理又は準備させるなどした上で、会計経理の担当者や責任者から克明な説明を聴取することが必要であることから、通常は事前に通知して検査をしている。

四について

 警察は、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としているところ、警察業務に係る予算執行について実効ある調査をするためには、調査に従事する者が警察の組織や業務に精通している必要がある。また、調査に従事する者は、秘匿されるべき個々具体の捜査活動の状況、捜査協力者の個人情報、捜査の手法等を知り得ることとなる。このような調査の実効性の確保、秘密の保持等の要請や独立した調査機関の設置による費用対効果等を総合的に勘案すると、警察自らが予算執行の状況を調査することが最も適当であると考える。

五について

 御指摘の報償費は、北海道警察が執行したものであるため、その執行状況の調査は、北海道警察が行うべきものであると認識している。

六について

 御指摘の答弁は、都道府県の監査委員やその事務局職員は、一般的に、国の機関である会計検査院の職員よりも個々の捜査協力者のことを知っている可能性が高いため、捜査員に対する聴取が行われるとすれば、守秘義務の有無にかかわらず、警察に情報を提供し、又は協力をしている事実が他人に知られることを嫌う捜査協力者が、捜査への協力に消極的となり、その結果、捜査活動を通じた国民の生命、身体及び財産の保護等に支障を来すおそれがあることから、北海道警察が監査委員の要望する捜査員に対する聴取に応じないという判断をしたこともやむを得ないということを申し上げたものである。
 また、会計検査院による検査及び都道府県の監査委員による監査において捜査協力者の氏名を明らかにするかどうかは、国民からの捜査への協力が得られにくくなること等によって公益が損なわれ得ることを十分に考慮した上、その可否を慎重に判断すべきものと考える。

七について

 捜査費の支払を受けた捜査協力者が、自己に危害が及ぶおそれがある等のやむを得ない事情により、領収書を受領する警察に対しそのような事情を明らかにする等して、その氏名と異なる名義で領収書を作成することは、必ずしも私文書偽造罪等に当たるとは言えないと考えている。
 警察庁においては、平成十六年二月十三日に同庁に設置した予算執行検討委員会における取組を通じて、捜査協力者等の保護の観点及び捜査活動に与える影響に配意しつつ、御指摘の協力者からの領収書の徴取の在り方も含め、警察の予算執行の在り方を検討し、その一層の適正化に努めていくこととしている。