質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

大阪の星ヶ丘厚生年金病院など全国十か所の厚生年金病院の整理合理化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年六月十一日

小林 美恵子   
宮本 岳志   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   大阪の星ヶ丘厚生年金病院など全国十か所の厚生年金病院の整理合理化に関する質問主意書

 与党年金制度改革協議会は、平成十六年三月十日に「年金福祉施設等の見直しについて(合意)」(以下「与党合意」という。)を公表し、年金福祉施設の見直し・整理合理化を行うとしている。厚生労働省年金局のパンフレット「『持続可能』で『安心』の年金制度とするために」によると「与党合意(平成十六年三月十日)等を踏まえ、例外なく整理し、国民の皆さまのご理解をいただけるよう、整理合理化を行うとともに、福祉施設の運営を委託している公益法人の在り方についても見直しを行います。」となっている。
 対象となる施設には、北海道、東京、神奈川、大阪など、十か所の厚生年金病院、リハビリテーション病院などがある。
 その対象とされている大阪の星ヶ丘厚生年金病院は、昭和二十八年一月に健康保険病院として設立され、昭和四十三年に厚生年金保険の福祉施設として現在の名称に改称し、現在六百四床の総合病院として、多くの救急患者を受け入れ、大阪府地域リハビリテーション地域支援センター、エイズ診療拠点病院、臓器提供施設、地域がん診療拠点病院、災害医療協力病院、臨床研修指定病院などの指定を受け、地域の民間病院とも連携、健診センターの受診者は年間約八千人に上るなど、地域になくてはならない病院である。
 厚生年金病院は、国民のために、国が委託費を出して運営している公的病院であり、本来、国民の生命と健康を守るべき、政府、厚生労働省としての役割からも整理合理化すべきではないと考える。この立場から、以下質問する。

一 厚生労働省年金局のパンフレットに記載されている「与党合意(平成十六年三月十日)等を踏まえ、例外なく整理し、国民の皆さまのご理解をいただけるよう、整理合理化を行う」という記述は、政府として、厚生年金病院の売却を意味するのか。

二 星ヶ丘厚生年金病院は公的病院として地域医療に大きく貢献し、また、地域になくてはならない病院となっている。しかし、与党合意には「年金保険料を原資として社会保険庁が設置してきた病院、保養施設等の福祉施設については、社会経済状況や生活様式の変化の中で、福祉還元事業としての必要性が希薄になってきたにもかかわらず…」とある。破綻した大規模保養施設と地域に必要とされている病院の整理合理化計画を一緒に進めることには無理がある。この点について政府の見解はいかがか。

三 星ヶ丘厚生年金病院を始め、厚生年金病院十か所の過去五年間の収支報告書を明らかにされたい。

四 年金財政が悪化している現状を、厚生年金病院売却で解消することは、国民の生命と健康を守る責任を逃れることではないか、政府の見解を示されたい。

五 与党合意では、「地域医療にとって重要な病院については地方公共団体と協議の上、その機能が維持できるよう十分考慮する」となっている。現在提供している医療の質を確保するためにもどういうことに考慮されているのか、計画の進捗状況も含め、全容を明らかにされたい。

六 売却先が最終的に確定できなかった場合、国民の生命と健康を守る行政として、病院施設の存続をどう保証するのか。

  右質問する。