質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

国際連合女性差別撤廃条約選択議定書の批准等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年六月十一日

畑野 君枝   
井上 美代   
大沢 辰美   
西山 登紀子   
八田 ひろ子   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   国際連合女性差別撤廃条約選択議定書の批准等に関する質問主意書

 国際連合女性差別撤廃条約選択議定書の発効から三年が経過し、既に六〇か国で批准している。選択議定書は、女性差別撤廃条約に規定された権利の違反について、個人又は集団が国連女性差別撤廃委員会に権利侵害を申し立てることができることを、女性差別撤廃委員会の調査手続とともに定めたものであり、雇用の場での昇進・昇格差別、男女賃金格差など男女の不平等が根深く残されている日本での批准は切実な課題として求められている。
 そこで、国連女性差別撤廃条約選択議定書の批准等に関し、以下質問する。

一 政府は、選択議定書の批准に向けた検討を、個人通報制度に関する研究会で研究しているとされているが、この研究会の検討テーマ、課題及びメンバーについて、明らかにされたい。また、この研究会はいつまでに検討を終え、結論を出すのか。さらに、その結論を踏まえ、政府は、選択議定書の批准に向けて今後どのように取り組むのか、併せて明らかにされたい。

二 昨年夏の国連女性差別撤廃委員会の日本政府報告書審査で、「委員会は、選択議定書により提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性にたいする差別への理解をすすめる上において司法を補助するものであると強く確信している」との「勧告」が出されている。
 政府は、この「勧告」をどのように受け止めているのか、明らかにされたい。

三 国連女性差別撤廃委員会の「勧告」は、「この最終コメントの内容を日本国内で広く周知すること」、「条約、選択議定書、委員会の一般的勧告、北京宣言および行動綱領、第二十三回国連特別総会の成果を、特に女性団体や人権組織に広く広報し続けることを強く要請」している。
 国連女性差別撤廃委員会から日本政府への二回の「勧告」(一九九五年、二〇〇三年)のそれぞれについて、どのように周知、徹底、広報してきたか。その手段及び内容を明らかにされたい。

四 今年一月、国連女性差別撤廃委員会が採択した女性差別撤廃条約第四条に関する一般的勧告でも、締約国に対して「この一般的勧告を各国語および地元の言葉に翻訳し、メディア、学会、人権・女性団体や機関を含む市民社会、行政機構を含む政府の立法、行政、司法部門に勧告を広く普及すること」を奨励している。
 国連女性差別撤廃委員会からこれまで出された二五の一般的勧告すべてについて、翻訳の有無、国民、とりわけ政治家、公務員などへの周知・徹底をどのように進めてきたのか、また、今後どのように進めようとしているのか、明らかにされたい。
 また、女性差別撤廃条約批准後の年度ごとの周知、徹底、広報のための予算額・決算額を明らかにされたい。

五 昨年の国連女性差別撤廃委員会、今年三月の国連女性の地位委員会のどちらにも日本政府代表団として法務省関係者は加わっていない。
 現在までの国連女性差別撤廃委員会、国連女性の地位委員会等の女性差別撤廃条約や選択議定書に係る諸会議への法務省関係者の参加状況、不参加であればその理由を明らかにされたい。

六 男女共同参画会議の苦情処理・監視専門調査会の「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透について」(案)は、「女子差別撤廃委員会の意見や勧告は法的拘束力がないから誠意を持って考慮すれば足りる」、「通報を行った個人・集団や該当する締約国など関係者の意見を平等に聞いたうえで結論を出す仕組みがない」と述べている。専門調査会でどのような検討の結果、こうした評価を出してきたのか、明らかにされたい。

七 参議院では、女性団体による選択議定書の批准を求める請願署名が、既に五回採択されている。政府は、国会の意思を尊重しなければならない。
 政府は、日本国内のNGOの要望や昨年七月の国連女性差別撤廃委員会からの「勧告」を真摯に受け止め、選択議定書の批准を直ちに行うべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。