質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

行政書士法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年六月十日

又市 征治   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   行政書士法に関する質問主意書

 法人格を有する自動車関係団体(以下「甲」という。)は、甲の会員であるそれぞれの自動車販売会社の顧客(自動車購入者=申請者)から手続代行費用を徴収して依頼を受けた自動車登録申請書類を一括集中処理するために「自動車登録業務代行センター」を設置しているが、その事務所内の一角に行政書士事務所が併設されており、行政書士(以下「乙」という。)が執務している。
 甲は乙と申請者(自動車購入者)との中間に介在し、甲の会員を通じ、多数の申請者からの受託者名の記載のない委任状を添付した自動車登録申請書類を預かり、一括して乙に取り次いでいる。甲の会員である自動車販売会社の各社が設定する自動車登録代行費用については、旅費等の諸経費が含まれていることもあり、甲の乙に対する業務報酬の一件当たり単価の十数倍から数十倍の金額になっている。
 また、申請者が自動車販売会社から示される登録諸費用の明細書には、乙が実際に受領する金額の内訳は記載されていない。
 乙は甲と処理件数に応じた報酬を得ること等を定めた業務委託契約を締結し、自動車登録申請書類等の作成業務を受託している。
 また、甲と乙との出向契約に基づき、甲の従業員が乙の事務所に出向し、乙の補助者として業務を行っている。乙の補助者の給与は、乙が給与相当額等を甲に支払うことで負担し、社会保険及び雇用保険については甲が手続きを行っている。
 このような場合、行政書士法第十九条の規定による行政書士でない者の業務の制限等に抵触するか否かが問題となるので、政府の見解を明らかにするため、次の事項について質問する。

一、行政書士法第一条の二に規定する「他人」は、申請者(自動車購入者)と解釈してよいか。

二、行政書士法施行規則第十条に規定する「依頼人」は甲と解釈してよいか。その場合、乙は申請者本人に対して報酬額を記載した領収証を交付しなくてよいか。

三、弁護士の場合は、弁護士法第七十二条において、非弁護士による法律事務等の周旋行為を禁じているが、先に述べた事例のような業務の受託形態は認められるか。認められないとすれば、どのような点が問題となるのか。

四、甲の従業員を乙の補助者として乙の業務に従事させることは、他人による業務取扱を禁じた行政書士法施行規則第四条に抵触するのではないか。この場合、出向契約があることによって違法性が解消されるものか。
 また、甲と乙との間で補助者に関する指揮監督権を規定した出向契約等がない場合は、同条に抵触するのではないか。

五、乙の行為は、行政書士法第十四条に規定する「行政書士が、この法律若しくはこれに基く命令、規則その他都道府県知事の処分に違反したとき又は行政書士たるにふさわしくない重大な非行があつたとき」という処分事由に該当するのか。

六、行政書士法第十九条ただし書は、「他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。」と定めている。ここでいう「総務省令で定める手続」及び「総務省令で定める者」については、どのような内容を定めようとしているのか。

七、行政書士法第十九条ただし書の「総務省令で定める者」には、同法第十二条に規定する守秘義務や同法第十条の二に規定する報酬規定の掲示義務等の行政書士に課せられている義務についてはどのように担保されるのか。

八、行政書士法の趣旨は、行政書士でない者がその業務を行うことを禁じることで行政文書の適正を担保するものである。ここで取り上げた甲乙の行為はこの趣旨を損ねるものではないのか。また、電磁的方式を活用する場合でも、引き続き行政書士が関与する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。