質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

国家公務員宿舎に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年四月六日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   国家公務員宿舎に関する質問主意書

 政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。
 政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第一五条第二項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、国家公務員の宿舎及び駐車場の使用料については、従来から民間の家賃や賃料に比べて不当に安いことが指摘されている。
 民間企業がその社員に社宅等を貸与する場合、所得税基本通達三六-四七等の規定により、土地・家屋の固定資産税課税標準額から算出した賃貸料相当額の五〇%を下回る金額で貸し出した場合には、その賃貸料相当額と社員から徴収する賃貸料との差額が給与所得とされ、所得税が徴収されることとなる。
1 この通達は、公務員についても適用されるものと理解してよいか。
2 平成一五年度において、東京都内及び横浜市内の国家公務員宿舎及びその駐車場について、この通達の基準で算定した賃貸料相当額と実際の使用料を、宿舎別及び駐車場別に示されたい。
3 平成一五年度において、前項で掲げた国家公務員宿舎に居住する国家公務員のうち、この通達により課税すべき者はいないのか。いる場合は、当該宿舎名又は駐車場名を示されたい。いない場合は、課税すべきでないと判断する理由を明らかにされたい。

二、民間企業の役員に対する社宅等の貸与については、お手盛りを防止する観点から、所得税基本通達三六-四〇等により、一般社員の場合の賃貸料相当額より二から数倍高い金額の賃貸料相当額を基に所得税が課税されるものと承知している。

1 本省庁課長級以上の国家公務員幹部職員は、事務次官等会議や省議等で宿舎等の使用料を決定する際の意思決定に参画する場があるにもかかわらず、民間企業の役員と異なり、この通達は適用されないと聞く。なぜ、そのような扱いがされているのか。
2 指定職以上の国家公務員幹部職員にこの通達を適用した場合、課税されることとなる職員数と課税金額について回答されたい。

  右質問する。