質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

公務員の共済年金及び退職金に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年四月二日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   公務員の共済年金及び退職金に関する質問主意書

 政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。
 政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第一五条第二項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金において、退職年金の平均額(受給総額を受給人数で除したもの)はいくらか。また、厚生年金における退職年金の平均額(受給総額を受給人数で除したもの)はいくらか。

二、公務員の共済年金における退職年金の平均額は厚生年金における退職年金の平均額をかなり上回っており、民間準拠という公務員の勤務条件の原則に反すると考えるが、政府の見解はどうか。

三、政府は国家公務員の退職金額を決定するに当たり、民間の退職金の水準を調査している。この調査では、民間の退職金額としていわゆる企業年金を一時金に換算した額も含めたものを用いている。
 国家公務員の退職金額には、企業年金に相当する共済年金の職域加算分を含まない金額を用いる一方で、民間の退職金額として企業年金を含めた金額を比較対象とするのでは不均衡であると考えるが、政府の見解はどうか。
 また、この政府調査によると、民間の退職金額の四割が企業年金を現在価値に置き換えたものだが、平成一四年度及び平成一五年度の国家公務員及び地方公務員の退職金支給総額の四割に当たる金額はいくらになるか。

四、去る三月二三日の予算委員会において、公務員は労働三権や守秘義務等の点で民間労働者と比較して制限があるので、退職金で民間の企業年金に相当するものを一時金で支払った上で、共済年金の職域加算があっても仕方ないという趣旨の政府答弁があった。

1 公務員に労働三権を付与した場合、かかる退職金の優遇措置は撤廃するのか。
2 民間労働者でも個人情報保護法等により一定の秘密を守る義務のある場合もあり、守秘義務の存在が退職金優遇の根拠として説明されるのは不適当と考えるが、政府の見解はどうか。
3 職域加算が存在する理由について、国家公務員共済年金の掛金率が厚生年金の保険料率よりも高い部分で給付がまかなわれていることがあると聞く。他方、地方公務員共済年金については、掛金率が厚生年金の保険料率よりも低いのにもかかわらず、運用収入で職域加算に必要な財源を捻出していると聞く。これらの認識で誤りはないか。
 これらの認識が正しいのであれば、国家公務員共済年金についても、職域加算部分の財源を運用収入でまかなえるよう資金運用を改善し、掛金率を引き下げて事業主負担分に当たる一般会計支出を削減すべきと考えるが、政府の見解はどうか。
 さらに、厚生年金についても、地方公務員共済年金と同等の運用実績を上げることで、保険料率の引上げを阻止すべきと考えるが、政府の見解はどうか。

  右質問する。