質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

地方公務員の勤務時間制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年四月一日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   地方公務員の勤務時間制度に関する質問主意書

 政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。
 政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第一五条第二項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、地方公務員の勤務時間制度について、去る三月二三日の予算委員会における政府答弁によれば、一部の地方自治体では、休憩時間(勤務時間外)四五分に、休息時間(勤務時間に含まれ、必要であれば勤務させることができる)を重ねて割り振るという措置が職員服務規程等で規定されている。

1 労働基準法第三四条第三項では休憩時間を自由に利用させなければならないと規定されていることから、かかる規定を定める職員服務規程等は同法第一三条により無効であり、この休憩時間中の休息時間において勤務を命じた場合には同法第三四条第一項に違反することとなると考えるが、政府の見解はどうか。
2 かかる労働基準法の趣旨に反する疑いのある勤務時間の割り振りをしている地方自治体に対しては、労働基準法を遵守するよう指導すべきと考えるが、政府の見解はどうか。
3 これらの地方自治体では、本来無給である休憩時間のうち一五分を有給として処理しているが、当該地方自治体の人件費を時給換算した場合、当該地方自治体において平成一四年度に有給処理された一五分の人件費として支出された総額はいくらとなるのか。

二、去る三月二三日の予算委員会における政府答弁によれば、相当数の地方自治体で休息時間を勤務時間の始め又は終わりに割り振る措置が採られている。

1 このような割り振りを行っている地方自治体の名称を、「始め」又は「終わり」のいずれかに割り振っているかの区別も含めてすべて明らかにされたい。
2 休息時間は、人事院規則一五-一四第八条の規定により正規の勤務時間の始め又は終わりに置いてはならないとされているところであり、地方公務員法第二四条第五項には地方自治体職員の勤務条件の国との権衡が規定されていることから、政府はかかる休息時間の割り振りを改めるよう関係地方自治体に指導すべきと考えるが、政府の見解はどうか。
3 これらの地方自治体の人件費を時給換算した場合、当該地方自治体において平成一四年度に勤務時間の始め又は終わりに割り振られた一五分の休息時間に対応する人件費として支出された総額はいくらとなるのか。

  右質問する。