質問主意書

第157回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一五七第一二号
  平成十五年十月三十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員櫻井充君提出公的年金と生活保護の支給額に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出公的年金と生活保護の支給額に関する質問に対する答弁書

一について

 公的年金制度は、国民全体が連帯し、世代間で支え合うことによって、高齢期等における稼得能力の喪失・減退を補てんするものであり、現役時代における保険料の納付実績に応じた年金額を、原則として、個人の所得や資産の状況にかかわらず高齢期に給付する社会保険方式を採用している。
 一方、生活保護制度は、年金による所得を含め利用し得る所得、資産等を活用してもなお最低限度の生活を維持することができないときに、不足分に限って保護を行うものであり、その最低生活費は個々の状況に応じた最低限度の生活全般を保障している。
 このように公的年金制度と生活保護制度は、制度の趣旨や内容が異なるものであり、公的年金制度の年金額と生活保護制度の最低生活費を単純に比較することは適当ではない。

二について

 お尋ねの「年金保険料を払ってきた人を優遇する制度」が、何を意味するのか必ずしも明らかではないが、生活に困窮するまでの経緯は様々であり、生活保護制度は、生活に困窮するまでの経緯、得ている所得の種類や額にかかわらず、現在の困窮の程度に応じて、無差別平等に保護を行うものである。また、生活保護制度は税金を財源として所得を再分配するものであるので、保護の基準は、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならないとされている。したがって、公的年金制度の年金額が最低生活費を下回る場合に、生活保護制度で保障される保護の基準が、結果として年金所得の有無にかかわらず同じとなることについては、制度の趣旨に照らして妥当なものと考えている。

三について

 生活保護制度においては、所得、資産、稼得能力等を有する者については、それらを活用することが求められており、保護の実施機関においては、保護の決定又は実施に当たって、申請者又は被保護者に勤労や年金等による所得、預貯金や不動産等の資産及び就労や求職の状況の申告を求めるとともに、これらに関する調査を徹底し、組織的に管理することにより、被保護者に対して適切な就労指導等を行っているところであり、今後とも、こうした取組により不正受給の防止を図り、適正な保護を実施してまいりたい。