質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質一五六第三五号
  平成十五年七月二十九日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出徳山ダムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出徳山ダムに関する質問に対する答弁書

一について

 水資源開発公団(以下「公団」という。)については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成十三年十二月十九日閣議決定)において、「実施中事業の事業規模の縮小等を図ることにより、全体として事業量の縮減を図る」こととされているが、この事業規模の縮小等の事業の見直しは、国土交通大臣が主務大臣である事業においては、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の規定に基づき定められた「国土交通省政策評価基本計画」(平成十四年三月二十二日国土交通省省議決定)のⅥの3に定めている「個別公共事業の再評価」(以下「事業の再評価」という。)として実施することとしている。
 徳山ダム建設事業については、国土交通省が平成十三年度に事業の再評価を実施しているが、その際、国土交通省中部地方整備局(以下「中部地方整備局」という。)に設置されている事業評価監視委員会(以下「事業評価監視委員会」という。)において、事業の必要性等について審議が行われた結果、同事業の継続は妥当とされ、国土交通省は、この結果を踏まえ、平成十四年三月二十六日に同事業の継続を決定したものである。

二について

 お尋ねの「徳山ダムによる新規利水の必要性」については、平成十三年度に実施した事業の再評価の際に、中部地方整備局が徳山ダムの利水者である岐阜県、愛知県及び名古屋市(以下「関係県市」という。)に対しその確認を行ったところ、平成十三年七月二十五日及び二十六日に関係県市から、徳山ダムは将来の水需要に備えるとともに渇水時等の安定給水のために必要な水源である旨の意向が示されたものである。なお、その後、関係県市の利水の必要性の確認を要する事情の変化がないことから、特殊法人等整理合理化計画が閣議決定された同年十二月十九日以降、再度の確認は行っていない。
 お尋ねの「揖斐川からの新規導水計画」とは、関係県市が揖斐川から取水をするに当たって必要となる導水施設に係る計画を指すものと考えられるが、その有無については、関係県市において考慮されるべき事項の一つであると考えており、国土交通省において直接の確認は行っていない。なお、揖斐川から木曽川へ水を融通するための導水については、両河川の管理を行う国土交通省において、関係県市等の意見を踏まえて検討することとしている。

三について

 二についてで述べたとおり、「徳山ダムによる新規利水の必要性」については、平成十三年度に実施した事業の再評価の際に、中部地方整備局が関係県市に対しその確認を行ったところ、平成十三年七月二十五日及び二十六日に関係県市から、徳山ダムは将来の水需要に備えるとともに渇水時等の安定給水のために必要な水源である旨の意向が示されたものであるが、お尋ねの「徳山ダムから受水予定の水道事業者である市及び町」の「水道需要予測及び水道事業計画」については、関係県市において考慮されるべき事項の一つであると考えており、国土交通省において直接の確認は行っていない。

四について

 二についてで述べたとおり、「徳山ダムによる新規利水の必要性」については、平成十三年度に実施した事業の再評価の際に、中部地方整備局が関係県市に対しその確認を行ったところ、平成十三年七月二十五日及び二十六日に関係県市から、徳山ダムは将来の水需要に備えるとともに渇水時等の安定給水のために必要な水源である旨の意向が示されたものであるが、お尋ねの「徳山ダムの新規開発水を水源とする工業用水利用計画の有無」については、岐阜県及び名古屋市において考慮されるべき事項の一つであると考えており、国土交通省において直接の確認は行っていない。

五について

 木曽川水系においては、「木曽川水系における水資源開発基本計画」(平成五年三月二十六日閣議決定。以下「木曽川水系基本計画」という。)を踏まえ、国、利水者、公団等は従来から水資源の総合的な開発を図るとともに、ダム等を水源として取水することが可能となる水量(以下「開発水量」という。)の利水者間の転用を含め利用の合理化を図っている。これまでに、岩屋ダムによる開発水量のうち、岐阜県の工業用水毎秒〇・八立方メートルを同県の水道用水として転用した実績があり、今後とも、木曽川水系では、木曽川水系基本計画の趣旨を踏まえ、国、利水者、公団等は水資源の利用の合理化に努めることとしている。
 岐阜県からは、二についてで述べたとおり、平成十三年度に実施した事業の再評価の際に「徳山ダムによる新規利水の必要性」についての意向が示されているが、同県は、その中で、御指摘の「未利用となっている岩屋ダム水源」の存在も踏まえて判断したものと考えている。

六について

 岐阜県からは、二についてで述べたとおり、平成十三年度に実施した事業の再評価の際に「徳山ダムによる新規利水の必要性」についての意向が示されているが、同県は、その中で、御指摘の「岩屋ダムの未利用水の存在」も踏まえて判断したものと考えている。なお、その後、事業の再評価によって同県の工業用水を含む利水の必要性の確認を要する事情の変化がないことから、特殊法人等整理合理化計画の閣議決定以降、再度の確認は行っていない。

七について

 平成十五年七月四日に国土審議会水資源開発分科会木曽川部会(以下「木曽川部会」という。)を開催し、木曽川水系基本計画の全部変更についての調査審議を開始したところである。
 水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)に基づく水資源開発基本計画(以下「基本計画」という。)の変更に当たっては、同法第四条の規定に基づき、関係行政機関の長に協議し、関係都道府県知事及び国土審議会の意見を聴いて、閣議の決定を経ることとされており、木曽川水系基本計画についても、今後、これらの手続に従い、早期に変更作業を終えるよう努めてまいりたい。

八について

 木曽川水系基本計画において、平成十二年度までを目途とする水の需要の見通しが示されているが、平成十二年度における木曽川水系からの取水量の実績は、水道用水は見通しの約六割、工業用水は見通しの約四割となっている。
 また、木曽川部会における木曽川水系基本計画の全部変更についての調査審議の過程において、木曽川水系における水の需給の計画及び実績等の情報が公開される予定である。

九について

 全部変更を行った基本計画については、特殊法人等整理合理化計画を受けて、おおむね五年を目途に基本計画の達成状況について点検を行い、必要に応じて基本計画の全部変更又は一部変更を行うこととしており、お尋ねの「ルール化」は完了している。

十について

 九についてで述べたとおり、全部変更を行った基本計画については、特殊法人等整理合理化計画を受けて、おおむね五年を目途に基本計画の達成状況について点検を行い、必要に応じて基本計画の全部変更又は一部変更を行うこととしており、お尋ねの「ルール化」は完了している。なお、当該変更の際には、水資源開発促進法に基づき、学識経験者等で構成される国土審議会の意見を聴くこととされている。