質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一五六第二八号
  平成十五年六月二十七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員浅尾慶一郎君提出医療の現場におけるインフォームド・コンセント及び診療情報の提供の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浅尾慶一郎君提出医療の現場におけるインフォームド・コンセント及び診療情報の提供の在り方に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 平成九年に医療法(昭和二十三年法律第二百五号)が改正され、同法第一条の四第二項において、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手(以下「医師等」という。)は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない旨が明記されたところである。また、医師等による患者への説明については、従来から、診療報酬における個々の診療行為の点数設定に当たって総合的に評価してきたところであるが、医療技術における時間に係る評価の在り方については、平成十五年三月二十八日に閣議決定した「健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針」で示した方向に沿って、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえつつ、検討してまいりたい。

三について

 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)が施行されれば、医療機関は、原則として、患者本人から診療情報の開示を求められた場合には、診療情報を開示する義務を負うこととなる。
 また、厚生労働省に設置した「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」が平成十五年六月に取りまとめた報告書の中で示されている診療情報の提供等に関するガイドライン(案)(以下「ガイドライン案」という。)においては、医師等や医療機関の管理者は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合に、原則としてこれに応じなければならず、その場合には、担当の医師等が説明を行うことが望ましいとされており、また、患者等は、医療機関の管理者に対し開示を求めればよいとされている。
 現在、ガイドライン案については、規制の設定又は改廃に係る意見の提出手続が進められているところであり、厚生労働省においては、当該手続を通じて提出される意見も考慮しつつ、できるだけ速やかに診療情報の提供に関する指針を策定し、関係者に対する周知を図るとともに、その着実な実行を求めてまいりたい。

四について

 開示請求の対象となる診療記録の内容等に応じて、開示できるか否かの検討に要する期間等が異なることから、開示請求から提供までの期間を一律に定めることは困難であると考えている。なお、ガイドライン案においては、開示請求があった場合に、医療機関の管理者は、担当の医師その他の必要な者の意見を聴いた上で、速やかに開示するか否か等を決定し、これを申立人に通知することとされている。

五について

 患者と医師等との信頼関係の下で、患者の選択を尊重した医療を推進していくためには、診療情報の提供を促進していくことが必要であり、今後、ガイドライン案を踏まえた診療情報の提供に関する指針の策定及び周知徹底、臨床研修等における診療情報の提供に関する医師等の理解を深めるための教育、特定機能病院等における患者相談窓口の活用、診療情報の提供促進に向けた調査研究及びその成果の普及等に取り組んでまいりたい。