質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一五六第一六号
  平成十五年四月二十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員大脇雅子君提出「難病対策見直し」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大脇雅子君提出「難病対策見直し」に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 原因が不明であって治療方法が確立していないいわゆる難病のうち、治療が極めて困難であり、かつ、医療費も高額である疾患については、医療の確立及び普及を図るとともに患者の医療費の負担の軽減を図ることを目的とする特定疾患治療研究事業を実施しているが、平成十四年八月二十三日付けの厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会の中間報告を踏まえ、医療費の自己負担の仕組みも含めた制度の見直しを検討しているところである。具体的には、治療の結果症状が改善し、経過観察等一定の通院管理の下で、著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことができると判断される患者(以下「軽快者」という。)については、特定疾患治療研究事業による公費負担医療の対象とせず、医療保険各法等の規定に基づく一部負担金の支払を求める方向で見直すことを検討している。
 特定疾患治療研究事業の対象となる患者であるか否か及びその重症度については、従来から、対象疾患ごとに定められた認定基準に基づき、都道府県知事が、毎年度、医学の専門家等で構成される都道府県特定疾患対策協議会の意見を踏まえて認定し、特定疾患医療受給者証の更新等を行っているところであり、軽快者に該当するか否かについても、同様の手続により判断することになるものと考えている。
 また、軽快者は、一定の通院管理の下で、著しい制限を受けることなく就労等を含む日常生活を営むことができると判断される者であることから、その医療費負担が過度に重くなることはないものと考えている。

一の3について

 特定疾患治療研究事業による公費負担医療において重症患者以外の者から求める自己負担の上限額については、身体障害者に対する更生医療、難病患者等居宅生活支援事業等に係る徴収基準を参考に、手続の簡素化や負担の公平性を考慮しつつ、患者の生計を主として維持する者の所得を基に決定する案を中心に検討しているところである。

一の4について

 軽快者に係る特定疾患医療受給者証の取扱いについては、現在検討しているところである。
 また、軽快者の症状が再び悪化した場合には、医師が症状の悪化を確認した日にさかのぼって特定疾患治療研究事業による公費負担医療の対象とする方向で検討している。

一の5について

 退職等により患者等の所得に変動があった場合については、身体障害者に対する更生医療等の取扱いを参考に、家計に過度の負担が生じない仕組みを検討しているところである。

二について

 特定疾患治療研究事業の対象となる疾患については、学識経験者で構成される特定疾患対策懇談会の意見を踏まえて決定しているところであるが、平成十五年三月二十八日に開催された同懇談会においては、現在対象となっている四十五の疾患を引き続き対象としていくことが確認されたところであり、現時点では特定の疾患を対象外とすることは考えていない。
 なお、医療技術の進歩に伴い、将来的に特定の疾患を特定疾患治療研究事業の対象外とする場合には、患者団体等に対し十分な説明を行ってまいりたい。

三について

 難病患者及びその家族に対するきめ細やかな相談及び支援を行う難病相談・支援センターについては、都道府県がこれを設置した場合に施設整備費、設備整備費及び事業費に対して国が補助するものであり、現時点で平成十五年度中に設置予定の都道府県は確定していないが、平成十五年度予算においては、全都道府県のおおむね三分の一に対して補助できるよう、所要の経費を計上しているところである。

四について

 いわゆる難病に係る調査研究としては、根本的な治療法が確立しておらず、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患に対して、病状の進行の阻止又は機能の回復若しくは再生を目指した画期的な診断法及び治療法の研究開発の推進に資することを目的とする難治性疾患克服研究事業を実施しており、これらの研究の成果については、その概要を国立保健医療科学院のホームページ上で順次公表しているところである。