質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一五六第九号
  平成十五年三月十四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員小泉親司君提出「日米防衛協力のための指針」の検討状況等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小泉親司君提出「日米防衛協力のための指針」の検討状況等に関する質問に対する答弁書

一の1から4までについて

 平成九年九月二十三日に日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針(以下「指針」という。)VIにいう「計画についての検討」については、平成十三年九月、統合幕僚会議事務局長及び自衛隊の関係者並びに在日米軍副司令官及びアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)関係者から成る共同計画検討委員会のレベルでそれまでの作業の進ちょくを確認したところであり、当該作業は、我が国に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画についての検討と周辺事態に際しての相互協力計画についての検討の双方を含むものである。なお、指針において我が国政府及び合衆国政府が行うこととされているのは、「日米共同作戦計画」及び「相互協力計画」の作成ではなく、飽くまで「共同作戦計画についての検討」及び「相互協力計画についての検討」である。
 指針においては、我が国政府及び合衆国政府は、共同作戦計画についての検討と相互協力計画についての検討との間の整合を図るよう留意することにより、周辺事態が我が国に対する武力攻撃に波及する可能性のある場合又は両者が同時に生起する場合に適切に対応し得るようにすることとされており、「計画についての検討」についてはこれを踏まえて行っているところである。また、我が国に対する武力攻撃が単独で生起するような場合にも適切に対応し得るよう配意することとなっている。さらに、「計画についての検討」に当たっては、お尋ねの「地方自治体や民間の協力」に関するものも含め、指針に示された事項が適切に反映されるよう配意することとなっている。
 右に述べたそれまでの作業の進ちょくの確認に係るものを含め、「計画についての検討」の具体的な内容等については、これらが緊急事態における我が国及び合衆国の対応振りにかかわるものであり、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。

一の5及び7について

 お尋ねのうち「昨年」とは、平成十三年を指すものと解されるが、「計画についての検討」は、その性質上、継続的に行われるものであり、また、指針においては、「計画についての検討」等の進ちょく及び結果は、節目節目に、日米安全保障協議委員会及びその下部機構である防衛協力小委員会に対して報告されるとされている。平成十四年十二月十六日に開催された日米安全保障協議委員会においては、平成十三年九月以降の検討も踏まえ、それまでの「計画についての検討」の進ちょく及び結果について報告が行われるとともに、これに先立ち、日米防衛協力小委員会の構成員に対しても報告が行われたところである。
 これらの具体的な内容については、一の1から4までについてで述べたところと同じ理由により、答弁することを差し控えたい。
 「計画についての検討」等の進ちょく及び結果は、今後とも、節目節目に日米安全保障協議委員会及び防衛協力小委員会に対して報告が行われることとなる。また、必要に応じ、内閣総理大臣に対して報告が行われることとなる。合衆国大統領に対する報告については、政府として答弁する立場にない。

一の6について

 お尋ねの「共通の基準及び実施要領等」についても、鋭意作業を進めているところであるが、その具体的な内容や作業の状況等については、一の1から4までについてで述べたところと同じ理由により、答弁することを差し控えたい。

二の1の①及び②並びに2について

 指針にいう「包括的なメカニズム」の下では、外務省及び防衛庁が必要の都度設定する連絡・調整の場において、共同計画検討委員会として「計画についての検討」を効果的に実施するために必要な関係省庁との連絡・調整が行われることとされている。連絡・調整の対象となる省庁は、個別具体の案件により異なるため、一概に述べることは困難である。また、個別具体の案件における連絡・調整の日時等については、一の1から4までについてで述べたところと同じ理由により、答弁することを差し控えたい。

二の1の③について

 一の1から4までについてで述べた作業の進ちょくの確認を行うに当たり、お尋ねの「関係省庁局長会議」は開催していない。

二の1の④について

 「計画についての検討」は、指針において示された「日本のすべての行為は、その時々において適用のある国内法令に従う」との基本的な前提及び考え方に従い行われている。

二の1の⑤について

 「計画についての検討」において、地方公共団体や企業等との協議は行っていない。

三の1について

 指針にいう「緊急事態」とは、指針「IV.日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」をとる事態及び「V.日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」を行う事態を指すものである。
 お尋ねの「テロや不審船の対応」がどのような事態を想定しているのか必ずしも明らかではないが、当該事態が右に述べた事態のいずれかに該当するならば、「緊急事態」に該当するものと考える。

三の2の①及び②について

 日本側において、外務省及び防衛庁以外の省庁が日米政策委員会に参加するのは、緊急事態に際して自衛隊及び合衆国軍隊が活動を行うに当たり、外務省及び防衛庁以外の関係省庁の協力が必要となる場合である。
 いかなる省庁が関係省庁になるかについては、個別具体の案件により異なるものであり、一概に述べることは困難である。

三の2の③について

 日米政策委員会は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条第一項に基づき設置される合同委員会の権限に属さない案件を取り扱うため、指針にいう「調整メカニズム」の一部として設置されたものであるが、日米政策委員会において調整する案件かどうかは、生起する事態に即して判断されるものであり、お尋ねの例を含め、一概に述べることは困難である。

三の3について

 お尋ねの「設置されている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日米共同調整所は、日本側が統合幕僚会議、陸上幕僚監部、海上幕僚監部及び航空幕僚監部の代表者、合衆国側が在日米軍司令部の代表者から成り、平素においては、「調整メカニズム」の一環として、自衛隊及び合衆国軍隊の活動について調整するために必要なハードウェア及びソフトウェアを準備しておくものであって、「緊急事態」に際して運用が開始されることとなるものである。

三の4について

 日米共同調整所は、「緊急事態」に際して自衛隊及び合衆国軍隊が行う活動の調整を行うが、お尋ねの「地方自治体や国民の協力に関する調整」を行うことは想定していない。