質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

阿賀川における災害復旧事業及び河川改修事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年六月二十六日

中村 敦夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   阿賀川における災害復旧事業及び河川改修事業に関する質問主意書

 福島県会津地方を流れる阿賀川での災害復旧事業及び河川改修事業(以下「本件事業」という。)に伴い、非常に豊かな生物多様性の見られる阿賀川水辺林を、政府が大規模に伐採する予定であると聞く。
 一方、河川法は「河川環境の整備と保全」を目的の一つとして定めている。当然、政府には、優れた自然環境を保全しつつ、河川工事等による河川環境に与える影響を最小限度に抑え、良好な河川環境の状況を維持する責務がある。
 したがって、阿賀川水辺林を大規模に伐採することは、河川法の趣旨に真っ向から反する行為と思われる。
 以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、本件事業は、「河川環境の整備と保全」を要請する河川法の趣旨に沿っていないと思われるが、どうか。

二、本年六月一日までに講じた本件事業における河川環境の保全策について、具体的に示されたい。

三、国土交通省阿賀川河川事務所(以下「当該事務所」という。)は、本年六月二十四日に、本件事業の環境調査を実施すると発表した。しかし、六月下旬に調査を始めるにもかかわらず、九月上旬には測量を開始する拙速な予定であるという。政府は、環境調査の結果にかかわらず本件事業を計画どおりに進めるのか、それとも環境調査の結果次第で本件事業を見直すこともあるのか、明らかにされたい。

四、阿賀川における生物多様性の重要性にかんがみ、本件事業に着工する前に、通年の環境調査を行う必要があると思われるが、環境大臣の意見を示されたい。

五、当該事務所管内における生物種を具体的に示されたい。また、国際自然保護連合版レッドデータリスト、環境省版レッドデータリスト及び福島県版レッドデータリストに該当する生物種がある場合、いずれのリストに記載されている生物種か、それぞれ付記されたい。

六、本件事業を採択するに当たって、絶滅のおそれのある生物種について、どのような保全策を講じたのか。生物種ごとに具体的な保全策をそれぞれ示されたい。

七、過去十年間の当該事務所管内における水辺林伐採の実態について、位置、面積及び伐採理由をそれぞれ年度別に示されたい。

八、当該事務所管内における水辺林の残存面積を示されたい。

九、阿賀川では、新しい河川整備基本方針及び河川整備計画を依然として定めていないと聞くが、なぜか。また、定める予定があるとすれば、その概要を示されたい。

  右質問する。