質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第三一号

CS放送に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年六月三日

平野 貞夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   CS放送に関する再質問主意書

 平成十五年四月七日付けでCS放送に関する質問主意書(以下「前回質問主意書」という。)を提出し、同年五月二十三日付けで内閣総理大臣臨時代理福田康夫国務大臣より、答弁書を受領した。
 しかしながら、答弁書は、重要な点において、質問に回答していない部分がある。
 また、総務省は、平成十五年四月十七日付けで、「衛星放送におけるプラットフォーム事業者の業務に係るガイドラインに関する指針」を公表しており、この指針を踏まえて新たに質問すべき事項も明らかになっている。
 そこで、我が国におけるCS放送事業を健全に発展させるため、よりよく現状を把握し、何を改善すべきかを明らかにする目的で、答弁書を踏まえて、再質問を行う必要がある。
 このような立場から、次の点について質問する。

一 前回質問主意書「三」では、総務大臣がCS放送事業者の大半が赤字であることの原因をどのように考えているか質問したが、答弁書中の「三について」では、この点について答弁が行われていない。
 そこで、CS放送事業者の大半が赤字であることの原因をどのように考えているか明確な答弁を求める。

二 前回質問主意書「四」では、「CS放送事業者の大半が赤字で、ジェイサット株式会社が大幅な黒字を出している現状を改善する必要があると考えるがいかがか」との質問を行ったところ、答弁書では「民間企業の経営に関することであり、答弁を差し控えたい」として、右質問に対する答弁が行われなかった。
 しかしながら、答弁書別表第一から明らかなように、CS放送事業者の過去五年間の「当期損失」の累計は一五九五億円、平成十三年度に限っても一七八億円にも及んでいるのである。このような赤字の状況からすれば、遠からずCS放送事業者の多くが経営的に破綻し、その結果CS事業そのものが維持できなくなるおそれも考えられる。
 前回の質問は、CS放送事業者の右のごとき危機的状況を踏まえ、これを改善するためにどのようにすべきかとの問題意識の下で行ったものであり、「民間企業の経営に関すること」という答弁では納得できない。
 そこで、改めて、CS放送事業者の大半が赤字で、ジェイサット株式会社が大幅な黒字を出している現状を改善する必要性について、総務大臣がどのように考えているのか、誠実かつ真剣な答弁を求める。

三 前回質問主意書「五」では、前記のごときCS放送業界の危機的状況を踏まえ、ジェイサット株式会社に委託放送料金を引き下げるよう指導する考えがないかどうか質問したところ、「民間企業の商取引に関することであり、御指摘のような指導を行うことは、現状においては考えていない」との答弁が行われている。
 しかし、前で述べたとおり、前回の質問は業界全体の経営環境を改善するためにどうするべきかとの観点から行っているものであり、「民間企業の商取引に関すること」という答弁では納得できない。そこで、総務大臣として、CS放送業界全体の経営環境を改善する方策の一つとして、ジェイサット株式会社の委託放送料金を引き下げるよう指導する考えがないかどうか再度質問するので、私の質問の意図を踏まえて、誠実かつ真剣な答弁を求める。

四 前回質問主意書「九」に対し、「放送法第五十二条の四第三項の規定により届け出られた役務の料金の変更届出書には、いわゆる番組パッケージ全体としての料金は記載されているが、番組パッケージ全体の料金から個々のCS放送事業者が得る分配額については記載されていない」との答弁が行われている。
 ところで、右に言う「役務の料金の変更届出書」とは、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが平成十三年十月一日付けで届け出たものをいうと思われるが、放送法第五十二条の四第一項、第三項及び第四項の規定に照らして考えてみると、放送法は、「番組パッケージ全体としての料金」を届け出るというやり方を認めておらず、個々の委託放送事業者が自分の料金をそれぞれ届け出なければならないと考えるがいかがか。(すなわち、全体として二九九〇円という届出ではなく、例えば国会TVは一〇円というような個別の届出でなければいけないと思われるがどうか。)

五 また、放送法の前記各規定によれば、放送料金は、各委託放送事業者が届け出るべきであり、前記届出書のように、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、パックを組成する委託放送事業者を代表して「番組パッケージ全体としての料金」を届け出ることは認められていないと考えるがいかがか。

六 総務大臣は、平成十五年四月十七日付けで「衛星放送におけるプラットフォーム事業者の業務に係るガイドラインに関する指針」(以下「指針」という。)を出しているが、なぜ、このような時期に、このような指針を出したのか、その理由を明らかにされたい。

七 株式会社シー・ネットは、前記届出の対象となっている「ベーシック・パック」に加入した際、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズより加入者一件当たり一〇円の料金を提示され、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの手数料として、一件当たり四円の手数料を要求されたとのことである。
 なぜ、一件当たり四円の手数料を株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズに支払わなければならないのか。株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズと他の委託放送事業者との間で手数料の分配について、どのような約束になっているのか全く分からなかったとのことである。
 ところで、指針は、「委託放送事業者及び衛星役務利用放送事業者に対する、プラットフォーム事業者の業務の内容及びその提供条件並びに責任に関する事項が適正かつ明確になっていること」と定めているが、これは、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズにおいて、右のような手数料額ないしその算定の基準等を明確にせよという意味であると理解してよいか。

八 指針には「視聴者に対し、有料放送の役務の料金その他の提供条件及びその変更の内容が明示されること」とあるが、前記届出のごとき番組パッケージ全体の料金による届出では、個々の委託放送事業者の料金が明らかになっていないので、右指針に反するのではないか。

九 指針には「委託放送事業者等に対し、不当な義務を課したり、不当な差別的取扱いが行われないこと」とあるが、どういう場合がこれに当たると考えられるのか、二、三の例を示して説明されたい。

十 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが株式会社シー・ネットに対して委託放送事業者の廃業届を出し、番組供給会社になるよう要求することは指針に違反すると考えられるが、いかがか。

十一 前回質問主意書「十三」に対し、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズによる番組紹介用のチャンネルを使用した国会中継について、「それは同社が認定を受けた当該番組紹介用のチャンネルに係る委託放送業務の委託放送事項の範囲にないとは言えず」との答弁が行われているが、なぜそのように言えるのか理由を明らかにされたい。

十二 前回質問主意書「十五」に対する答弁で、「お尋ねのような届出を受けた事実はない」とあるが、平成十三年十月一日付けで、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが「国会TV」の委託放送事業者として料金の届出を行っている事実はあるか。

十三 右の届出が行われたとき、株式会社シー・ネットが「国会TV」の委託放送事業者の廃業届を提出していたかどうか明らかにされたい。

十四 右のような株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの届出は、放送法上許されるのかどうか明らかにされたい。

十五 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズに対し、指針に基づくガイドラインの策定はいつまでにするよう指示しているのか明らかにされたい。

  右質問する。