質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

テロ対策特別措置法に基づく自衛隊海外派遣にかかわる規模、経費等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年三月十八日

大脇 雅子   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   テロ対策特別措置法に基づく自衛隊海外派遣にかかわる規模、経費等に関する質問主意書

 平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したいわゆるテロ攻撃にかかわって、日本では、いわゆるテロ対策特別措置法(平成十三年法律第百十三号。以下「本法」という。)が制定された。そして、本法に基づいて、テロの廃絶に向けた国際連合や諸外国の活動に対する支援が実施され、現在も進捗していると承知している。
 緊迫の度合いを高めるイラク・北朝鮮問題について、国連安保理事会では、イラクが国連決議一四四一を遵守しておらず、武力攻撃をすべきとの立場を執るアメリカ合衆国やイギリスと、査察継続・武力攻撃に反対するフランス・ドイツ・ロシア・中国などの狭間で、まだ態度を決めかねている非常任理事国等が、様々な外交折衝を続けてきた。そして、米英共同の「修正案」が提出されるに及び、今、世界的に「反戦デモ」が広がり、「戦争NO!」の声が高まる中で、人類は、戦争による問題解決を図るのか、それとも平和的手段による問題解決を図るのかの二十一世紀初頭の岐路に立たされている。
 日本が平和的解決のために積極的に果たすべき役割は大きく、重要な意義を有している。日本の内外に高まっている「戦争NO!」の世論に誠実にこたえて、平和主義を高く掲げる日本国憲法の理念に基づいた国際貢献こそ、最も肝要な政策であることは明らかである。
 以下、質問する。

一、本法に基づく自衛隊部隊のインド洋派遣が行われたが、次の事項の詳細及び今後の活動についてはどのようにするのか。

1 海上自衛隊による活動は、大きく分けて被災民救援活動と協力支援活動等に分けられていると承知しているが、これまでに要した経費の財政上の根拠を示し、その実額の推移を明らかにされたい。
2 国際連合難民高等弁務官事務所の要請に基づき、平成十三年十一月から十二月にかけて掃海母艦「うらが」(護衛艦「さわぎり」が随伴)により、テント・毛布等の輸送が行われ、カラチ港で引渡しがなされたとのことに関して、次の点はどのようになっているか。
① その現物の引渡先及び数量、費用等の詳細。
② 今後、被災民の窮状を見ると支援を強めるべきと考えるが、今後どのようにするのか。
③ 派遣される自衛隊員に係る手当その他の費用の実際及び今後の見通しはどうか。
3 協力支援活動等に関する個々の派遣部隊のインド洋上での活動内容とその任務の期限は全体としてどのようになっているか。イラク情勢との関係で、「必要に応じた延長」になるのか。それとも、別途の措置となるのか。
4 アメリカ合衆国軍の艦船への給油内容とりわけ給油艦船の種類別内容実績及び経費はどのようになっているか。その場合、給油は、合衆国軍の艦船自体の運行に供されるものか。それとも例えば、航空燃料も含まれているのか。
5 補給艦「はまな」・「とわだ」等が給油のために要する油の調達先と調達方法、及び自衛隊給油艦別の給油先艦船別の給油実績はどのようになっているか。また、今後、増強する予定があるか。
6 インド洋上での給油対象が、フランス・スペイン・ドイツ等への拡大がなされるとの報道(例えば朝日新聞今年二月十四日朝刊)に関して、これまでの外交折衝の内容と確定給油先国及び給油艦船の種類と給油予定内容を明らかにされたい。
7 アメリカ合衆国軍の艦船への給油以外の支援内容、実績及びその経費はどのようになっているか。今後、イラク情勢によって、更に拡大することが予測されるが、平和的解決の観点からは、無限定の拡大は本法に基づく支援活動の枠を逸脱すると考えるがどうか。
8 併せて、航空自衛隊による支援活動も、国内・国外を問わず行われているが、国内の米軍基地間及びグアム島方面への支援活動は、具体的には何をどのような必要に応じて支援したのか。

二、本法に基づき、自衛隊の給油艦が派遣された後、イージス艦が派遣され、現在も任務に就いているが、これに関して、次の項目の詳細はどのようになっているか。

1 インド洋上での任務に当たっている自衛隊員の今回の職務に伴う特別手当等の実額及びその財政的根拠は何か。
2 今回のイージス艦派遣の目的の一つとして説明された、「自衛隊員の健康保持」のための内容と効果及び経費はどのようになっているか。
3 イージス艦派遣は、その機能からすれば、今回派遣されたことは、その本来的任務といえるのか。また、イージス艦本来の「情報収集活動」は、米国軍艦船等が独自に行っている情報収集活動と競合するので、支援活動の枠を超えるのではないか。
4 健康上の問題を生じた自衛隊員への対処内容及びその経費はどのようになっているか。交替要員の確保は十分か。それとも、支援活動内容の見直しをしているのか。もし、していなければ、早急に見直しをすべきではないか。
5 任務に就いている自衛隊員の帰国予定及び今後の配置予定はどのようになっているか。

三、アフガニスタンの復興支援に関して、これまで日本は「平和的貢献」として積極的役割を果たしてきていると承知しているが、今後とも継続すべきと考える。そこで、次の事項の詳細はどのようになっているか。また、増額・強化の予定はあるか。

1 ODA等、これまでの復興支援のために支出された経費の具体的内容及びその実績。
2 外務省を始め、復興支援にかかわっている省庁別の活動実績及びその経費。
3 社会資本整備にかかわる支援内容及びその経費。
4 ユニセフ、PKOなどを通じた支援の内容はどのように展開されているか。またその経費を増額する予定はないか。
5 地雷除去等、荒廃した国土復興に関する日本の取組内容及びその実績はどうか。日本はこれまで約百万発の地雷を処理したとされるが、世界に呼びかけて地雷処理の効果を上げるための取組を更に強化すべきと考えるがどうか。
6 「女性の地位向上支援」に関する日本の取組内容と実績はどうか。イスラム世界の女性の権利を一層効果的に保護するために、今後どのような取組を強化するのか。世界との連携はどうか。
7 日本が積極的に貢献するDDR(元兵士の武装解除、動員解除及び社会復帰)に関するこれまでの取組内容と実績はどうか。地域においては、武装解除が進まず、宗教的・部族間の対立も伝えられる。今後の見通しはどうか。
8 日本が今後果たす復興支援の計画予定はどのように考えているか。

  右質問する。