質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

公務員制度改革の考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年一月三十一日

高嶋 良充   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   公務員制度改革の考え方に関する質問主意書

 平成十四年十二月二日に提出した「公務員制度改革の考え方に関する質問主意書」に対し、十二月十七日付けで小泉内閣総理大臣から政府の答弁書を受領したところであるが、極めて不十分な内容であり、質問に対し、全く答えていない。政府は平成十三年三月に「公務員制度改革の大枠」を表明して以来、既に二年近く経過し、今国会に法案を出す準備をしているとの石原大臣の答弁もある中で、このような基本的事項に答えられないというのは納得し難い。
 もはや、「今後検討を行っていく」といった答弁がまかり通る時期ではないはずである。したがって、公務員制度改革の考え方に関して、再度以下のとおり質問する。

一、勤務条件に係る事項についての人事院による事前の規制(チェック)とは具体的に何かという質問に対し、答弁書では「当該事項について各主任大臣等が事前に人事院の承認若しくは決定を受け、又は人事院と協議をしなければならないものが該当するものと認識している」としか回答しておらず、質問に答えていない。行政改革推進事務局が認識している個別具体的な事項をすべて示されたい。

二、勤務条件に係る事項についての人事院による事前の規制のうち、各主任大臣等が機動的な行政運営を行う上での制約となっているものが具体的にどのようなものであるかという質問に対し、答弁書では「『公務員制度改革大綱』に基づき、それぞれ個別の事項ごとに今後検討を行っていく」との見解が示されている。
 この答弁によると、政府は、具体的な根拠がないにもかかわらず、「現行の人事院による人事・組織管理面での事前かつ詳細な制度的規制」は、「各主任大臣等が人的資源等を活用して機動的な行政運営を行う上での制約となっている面がある」との認識を言わば思い込みで公務員制度改革大綱に盛り込んだと受け止めざるを得ないが、このように理解してよろしいか。
 また、仮にそうだとすれば、そもそも大綱の内容の正統性自体を疑わざるを得ないが、そうでないとすれば、勤務条件に係る事項について、各府省による「機動的・弾力的な行政運営を制約している」人事院の「事前かつ個別詳細な」規制として行政改革推進事務局が認識している事項を、各個別事項ごとにすべて示されたい。

三、勤務条件に係る事項についての人事院による事前の規制のうち、どのようなものを廃止し、その代替措置としてどのようなものが考えられるか、また、人事院による事後チェックに転換する場合に具体的な仕組みをどのようにするかという質問に対しても、答弁書では「『公務員制度改革大綱』に基づき、それぞれ個別の事項ごとに今後検討を行っていく」との見解が示されている。
 勤務条件に係る事項についての人事院による事前の規制のうち、どのようなものを廃止し、代替措置としてどのようなものを考えているのか、また、人事院による事後チェックに転換する場合に具体的な仕組みをどのようにするのか、それぞれ個別の事項ごとに現時点における見解を示されたい。

四、勤務条件に係る事項についての現行の人事院による事前の規制の目的をどうとらえ、また、それを人事院による事後チェックに替えることによって当該事前規制の目的はどのように維持されると考えているのかという質問に対し、答弁書では「職員の利益の保護及び人事行政の中立性・公正性の確保の観点から行っているものと考えているが、今回の見直しに当たっても職員の利益の保護及び人事行政の中立性・公正性の確保が図られるよう、人事院の具体的な関与の在り方も含め、十分検討していく所存」と、ここでも具体性に欠けた答弁が繰り返されている。
 勤務条件に係る事項についての現行の人事院による事前の規制の目的をどうとらえ、また、それを人事院による事後チェックに替えることによって当該事前規制の目的はどのように維持されると考えているのか、個別事項ごとに現時点における見解を示されたい。

五、公務員人事の中立公正性に関しても、この際次のとおり質問する。

1 公務員人事の中立公正性の確保に関する事項(国家公務員法第百三条の再就職に係る事項を除く。以下同じ。)について、行政改革推進事務局は人事院による事前の規制とは具体的に何と認識しているのか。
2 そのうちどの事前規制が行政運営を制約していると認識しているのか。
3 どの事前規制を廃止することとし、その代替措置はそれぞれについてどう考えているのか。
4 人事院の事後チェックに転換するのであれば、その具体的方法について3で掲げた項目それぞれについてどう考えているのか。
5 事後チェック化することを考えている事項について、人事院による事前規制の目的をどう認識し、事後チェック化によりその目的はどうなると考えているのか。それぞれ個別事項ごとに示されたい。

  右質問する。