質問主意書

第155回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一五五第七号
  平成十五年二月二十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出北海道南部の砂防に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出北海道南部の砂防に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの二級河川鳥崎川水系鳥崎川(以下「鳥崎川」という。)の「下流を中心とした」駒ヶ岳ダム周辺地域における「コンクリート擁壁崩壊、河岸崩壊、山脚崩壊及び道路被災」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、鳥崎川及び鳥崎川に並行する一般道道霞台森停車場線においては、近年では、平成九年及び平成十年に道路欠壊等の災害が発生し、北海道によって災害復旧工事が行われたことを承知している。また、関係地方公共団体によると、御指摘のように駒ヶ岳ダムと当該災害との間に何らかの関係があることについては確認されていないとのことである。

一の2について

 鳥崎川においては、国及び地方公共団体による水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第十六条第四項に基づく水質の測定の対象となっていないため、水質の経年的な変化の有無については確認することができない。
 なお、鳥崎川の河川管理者である北海道が、河川環境の状況を把握するため、平成十三年十月九日に鳥崎川の河口から二百メートル上流地点及び千八百メートル上流地点において行った水質調査によると、河川の水質汚濁の状況の代表的な指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)の測定結果は、両地点とも一リットル当たり〇・八ミリグラムであり、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項に基づく「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和四十六年環境庁告示第五十九号)において定められた生活環境の保全に関する環境基準のうちの最上位の類型であるAAの水質に相当するものとなっている。

一の3について

 駒ヶ岳ダムの管理者である森町及び砂原町並びに鳥崎川の河川管理者である北海道によると、同ダムに貯留される流水及び同ダム地点より下流における河川の流水の長期的な濁りは確認されていないとのことである。また、森町及び砂原町によると、同ダムにおける濁水対策については行っていないとのことである。

一の4について

 駒ヶ岳ダムは、国営駒ヶ岳土地改良事業における畑地への用水供給を目的として北海道開発庁北海道開発局(以下「北海道開発局」という。)が建設した農業用ダムであり、昭和四十六年度に着工し昭和五十八年度に完成した。一方、鳥崎川砂防ダムは、昭和五十六年八月の豪雨による災害等を契機として鳥崎川下流域の人命及び家屋等の財産を土砂災害から守る目的で北海道が建設した砂防えん堤であり、昭和六十一年度に着工し昭和六十三年度に完成した。「両ダムが同時期に建設された」との御指摘が具体的にどのようなことを意味するのか必ずしも明らかではないが、右のように、両ダムは別個の目的をもって建設されたものである。
 また、駒ヶ岳ダム及び鳥崎川砂防ダムの建設に際して、御指摘のように「北海道開発局と北海道庁との間において調整等」が行われたとの事実は把握していない。

二の1について

 二級河川遊楽部川水系砂蘭部川(以下「砂蘭部川」という。)においては、近年では、平成九年、平成十年及び平成十一年に河岸欠壊等の災害が発生し、北海道及び八雲町によって災害復旧工事が行われたことを承知している。また、関係地方公共団体によると、当該災害は、河道の湾曲部の水当たりの強い所における流水による局所的な侵食により発生したものであり、現時点では御指摘のような「これらの砂防ダムと河床低下との因果関係を検証した後、同工事について事後調査」を行う必要はないと考えているとのことであり、政府としても同様に考えているところである。

二の2について

 砂蘭部川における二の1についてで述べた災害復旧工事については、北海道及び八雲町において護岸工等の施行に必要な掘削及び埋戻しを実施したと承知している。
 また、お尋ねの「二〇〇一年度の同工事」とは、北海道が行った平成十三年度の砂蘭部川災害関連工事を指すものと思われるが、当該工事においては、護岸工及び水制工の施行に必要な掘削及び埋戻しを実施しており、その量については、当該工事の実施設計書によると、掘削量は一万九千四十立方メートル、埋戻し量は一万四千五百四十二立方メートル、護岸工の石材としての使用量は二千二十七立方メートル、残土量は二千四百四十立方メートルである。

二の3について

 二級河川遊楽部川水系鉛川に並行する一般国道二百七十七号においては、近年では、平成九年及び平成十一年に道路欠壊等の災害が発生し、北海道開発局により災害復旧工事等が行われているが、これらの災害は、河川の流水による局所的な侵食により発生したものと考えており、また、平成十二年以降は災害が発生していないため、現時点では御指摘のような「調査」を行った上で「抜本的な道路崩壊対策を講じる」ことは考えていない。

三の1について

 お尋ねの「大規模な災害対策工事」とは、平成十年五月及び九月の豪雨による災害に伴う二級河川折戸川水系宿野辺川(以下「宿野辺川」という。)における災害関連工事を指すものと思われるが、当該災害の状況については、関係地方公共団体において調査を行い、その結果によると、河岸欠壊等が森町で五か所延べ延長二千三百十二メートル、七飯町で五か所延べ延長千九百五十一メートルであった。

三の2について

 宿野辺川においては、国及び地方公共団体による水質汚濁防止法第十六条第四項に基づく水質の測定の対象となっていないため、水質の経年的な変化の有無については確認することができないが、北海道においては、宿野辺川において御指摘のように「右股沢川一号砂防ダム、右股沢川二号砂防ダム及び右股沢川三号砂防ダムが建設されて以来、下流部では水質悪化が進行している」との認識は持っていないと承知している。
 なお、大沼の宿野辺川流入地点における同項に基づく水質の測定によると、湖沼の水質汚濁の状況の代表的な指標であるCOD(化学的酸素要求量)の測定結果は、これらの砂防ダムの建設が完了した平成八年度以降においてもほぼ横ばいで推移している。