質問主意書

第155回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇号

米海軍横須賀基地十二号バースの土壌汚染と将来の利用計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年十二月十三日

福島 瑞穂   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   米海軍横須賀基地十二号バースの土壌汚染と将来の利用計画に関する質問主意書

 米海軍横須賀基地十二号バースの関連工事において、十二号バース内の井戸の地下水から発癌性のある有機塩素化合物であるベンゼン、有毒な鉛、砒素等が検出された。防衛施設庁の行った汚染対策にもかかわらず、これらの有害物質がいまだ十分に取り除かれたという確証は得られていない。ところが防衛施設庁は十一月十一日、十二号バース汚染対策工事終了を発表した。一九九八年度の防衛施設庁の報告書によれば、十二号バースの汚染地域のうち、現在ベンゼンの地下水対策が行われている地点から三〇メートル北西のG地点で、土壌から国の基準を上回るベンゼンが検出されている。そして、その付近については、汚染対策開始後も、何らの対策も行われていないことから、現在も汚染された状態であることは明らかと考えざるを得ない。汚染した地下水に何の対策も施さず、現在の汚染状況の調査も行わず、汚染は無くなったと言うことはできない。防衛施設庁は早急にG地点周辺の土壌及び地下水の検査を行い、浄化されているか否かを確認すべきである。
 今後は十二号バースの延長工事が開始され、二〇〇三年度の予算では、クレーン、変電施設等の約四〇億円に上る予算要求がなされている。いよいよ原子力空母の横須賀母港化への動きが加速されていると考えざるを得ない。十分な汚染対策が置き去りにされていること、さらに延長工事後の利用方法について、大きな疑問があるので以下質問する。

一 一九九八年の環境調査当時、米海軍横須賀基地十二号バース土壌中のベンゼンが国の基準以上であったG地点周辺について、汚染対策工事完了前に土壌の汚染状態の調査を行ったか。現在の土壌の汚染状態はどうか。

二 十二号バース延長工事の予定海面について、一九九八年の環境調査によれば、海底の泥岩層から国の基準以上の天然砒素が検出されている。工事に先立って、土壌のサンプリング、砒素等の重金属の含有、溶出試験を行ったか。

三 この岩盤層への三〇〇本の杭打ちによって、天然砒素が海中に溶けだして汚染が拡散されることについて、この拡散の防止対策(岩盤亀裂防止対策、汚濁防止膜等)として、どのようなことを予定しているか。

四 現在より海水中の砒素の値が上昇したら、どう対処するか。

五 十二号バースの延長工事だけでなく、二〇〇三年度予算によって要求されているクレーン、変電施設等の陸上部分の施設整備も、一九九八年の米国会計検査院の報告書によれば、原子力空母母港のための必要施設と指摘されている。これについて情報は得ているか。

六 二〇〇三年度予算として予算要求されている陸上部分の計画には以下のような設備が挙げられているが、これらについて内容を示されたい。

1 移動式クレーンの設備内容
2 変電施設の容量
3 艦船支援施設での施設及び作業内容
4 ユーティリティーピットのユーティリティーの内容

七 これら設備については、いずれも港湾施設として、工事に先立ち横須賀市と港湾法に基づく協議が行われ、情報公開も徹底されると理解してよいか。

八 米軍側からは、十二号バース周辺において、これら施設に続くものとして、現在検討中のものも含め、浚渫工事、艦船整備施設等、どのような施設整備の要求が出されているか。その一覧を示されたい。

  右質問する。