質問主意書

第155回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

北海道南部の砂防に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十四年十一月二十二日

中村 敦夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   北海道南部の砂防に関する質問主意書

 北海道南部では、ダム建設や砂防工事等に起因すると思われる災害が頻発していると聞く。事実であるならば、災害対策工事及び北海道開発局の在り方を根底から覆すだけでなく、税金の使途としても全くふさわしくない由々しき事態である。
 以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、鳥崎川の砂防について

1 駒ヶ岳ダム建設後、下流を中心とした同ダム周辺地域において、コンクリート擁壁崩壊、河岸崩壊、山脚崩壊及び道路被災が増大していると聞く。駒ヶ岳ダムとこれらの災害には、何らかの関係があると考えられるが、どうか。
2 駒ヶ岳ダム下流では水泡が目立ち、鳥崎川砂防ダム下流では悪臭がすると聞く。よって、鳥崎川において水質劣化が進行していると考えられるが、現状を明らかにされたい。
3 駒ヶ岳ダムに滞留する濁水のため、下流域の河川水が濁っており、その影響が長期間に及んでいると聞く。駒ケ岳ダムの濁水対策を具体的に示されたい。
4 北海道開発局の駒ヶ岳ダム及び北海道庁の鳥崎川砂防ダムは、ほぼ同時期に建設された。駒ヶ岳ダムを原因とする河岸崩壊や山脚崩壊などを予測して、土砂受けのために鳥崎川砂防ダムが建設されたのではないかと疑わざるを得ない。よって、両ダムが同時期に建設された理由について示されたい。また、両ダムの建設に際して、北海道開発局と北海道庁との間において調整等がなされているならば、その経緯についても具体的に示されたい。

二、遊楽部川水系の砂防について

1 遊楽部川水系砂蘭部川には、上流部に北海道庁の砂防ダム二基がある。一方、同川下流部では、全域で河床低下に伴う河岸崩壊、農地崩壊、町道崩壊などの災害が繰り返されていると聞く。土砂をせき止める砂防ダムの目的からして、これらの砂防ダムと河床低下には、因果関係があると考えられる。ところが、これらの砂防ダムと河床低下との因果関係が検証されないまま、国の補助事業として砂蘭部川災害復旧工事が実施されている。河床低下による同工事を補助事業としている以上、これらの砂防ダムと河床低下との因果関係を検証した後、同工事について事後調査を行うべきであると考えるが、どうか。
2 遊楽部川水系砂蘭部川は、河床低下が深刻であるにもかかわらず、同工事のために、河床材が大量に採取され、石積護岸や巨石水制工に転用されていると聞く。同工事において、河床材の大量採取をすべきではないと考えるが、どうか。あわせて、二〇〇一年度の同工事に伴って採取した同川の河床材の量を明らかにされたい。
3 遊楽部川水系鉛川沿いに走る国道二七七号線は、河床低下に起因する道路崩壊を繰り返していると聞く。同川の谷止工下流部において顕著な河床低下が見られることから、国道二七七号線の道路崩壊との因果関係が推量される。この点について調査を行い、谷止工を撤去するなど抜本的な道路崩壊対策を講じるべきであると考えるが、どうか。

三、宿野辺川の砂防について

1 宿野辺川上流部に、右股沢川一号砂防ダム、右股沢川二号砂防ダム及び右股沢川三号砂防ダムが建設されて以来、下流の大沼に大量の泥が流れ込んだと聞く。その後、これらの砂防ダムから下流一帯において、大規模な災害対策工事が実施された。この災害対策工事について、根拠となる被災状況調査の経緯と結果を具体的に示されたい。
2 宿野辺川上流部に右股沢川一号砂防ダム、右股沢川二号砂防ダム及び右股沢川三号砂防ダムが建設されて以来、下流部では水質悪化が進行していると聞く。このままでは、重要な観光資源である大沼の水質が悪化していくものと考えられる。よって、これらの砂防ダムを撤去するなど抜本的な水質悪化対策を講じるべきであると考えるが、どうか。

  右質問する。